待ち合わせ
それから、鐘の音を一つ挟んだお昼前。やっとの思いで初の商談を終えた僕は、よろよろとした足取りで広場の脇に辿り着いた。
ぐったりと肩を落とし、のろのろと辺りを見回す。
オルドとは正午前にここで落ち合う手筈になっているのだが、いくら探してもそれらしい人影は見当たらない。
もしかしかすると、僕が早く来過ぎただけなんじゃないだろうか。不安になって空を確かめると、予想通り太陽はちょうど真上に差し掛かっていた。
──まったく、一体全体どこにいるんだ?
押し寄せる疲れとイライラから、思わず目眩がしてくる。
基本的に、あいつがこの手の約束を守ることはまずない。だからそういう時は決まって彼だけ置き去りにするのだけど、今回ばかりは勝手が違う。護衛役がいないと、僕は村へ戻ることすら出来ないのだ。
「こんなことなら、おじさんにお願いすればよかった……」
溜息の代わりに、愚痴が溢れる。
別に悪いやつではないのだが、オルドは根っからのお調子者でとにかく真面目さというものに欠けている。
修行はサボってばかりだし、いつだって遊ぶことしか考えていない。加えて今朝のあのはしゃぎっぷりだ、どうせ護衛役のことなんてすっかり忘れてしまっているに違いない。