現実世界で
妹初登場‼︎
現実世界に戻ってきた。時刻は7時40分。スマホをいじっていると、14歳の妹の「すず」から声がかけられた。
「しず兄戻ってきたなら先お風呂入ってきたら?ご飯はしず兄があがった時にはできてるし」
「お風呂もう沸いてるの?」
「うん!しず兄が早く戻ってくる気がして先に沸かしておいたんだ〜!」
「そっか。ありがとうな〜すず!入ってくるよ。」
そう言って頭を撫でるとすずは「えへへ〜」と小さくはにかむ。可愛い。癒される。しばらく撫でてから風呂へ向かう。
俺とすずは恋愛対象ではなく、親愛対象として、ものすごく好きあっている。すずは可愛いから癒される。よくある『実は義理の妹だった』とか『妹の方は恋愛対象として兄を見ていた』とか一切ない。すずとは血の繋がった兄妹だし、ちゃんと家族として見ている。
可愛いと直接言うと、
「しず兄は女の人が憧れる顔だよ?性格はかっこいいよ!」
と言い返してくる。男としてはあまりなんとも言えない。普通のイケメンの方がいい。
でもすずがこう言ってくれるので自分の顔が嫌ではない。
すずとはお互い、雰囲気と表情だけで簡単な会話ができる。目を見れば普通にできる。
すずは、家事を完璧にこなす。父はまだウイルスの対策ができていない時、すずがまだ母のお腹の中にいる時にウイルスで死んでしまった。母は俺が10歳の時に過労で死んでしまった。俺とすずの仲がいいのは、親がいないからその分の家族愛を補い合ってるんだと思う。
それまでに両親がものすごく稼いでくれたので後2年は遺産で生活できる。
母がいなくなってからは、家事はすずがするようになった。すずは「自分がしたいからするの」と言ってくれるので、俺はゲーム配信に集中していた。
あまりゲーム配信が伸びなかったのが申し訳ないけどすずは全然気にしてない。
本当に天使だ。
風呂から上がるとテーブルにご飯が並べられていた。献立は、白ごはん、ハンバーグ、サラダ、だ。旨そう。
「「いただきます」」
すずと食べながら会話をする。
「どう?SWの世界は?」
「プレイした感じでは現実の体の影響が強いかな?動く事が一切アシストされてなくてさ、ステータスに差があってもプレイヤースキルがあったら普通に勝てると思う。
STR値とか多分ダメージと装備制限とかにしか関係ない感じかな」
「ふーん。じゃあしず兄は今度の大会優勝できそう?」
「大会?」
「あれ?じゃあゲームにINしてた人はまだ知らない?6日後、つまりゲーム開始から1週間後に大会があるって。」
「そうなのか。まぁ勝てると思うよ。今日他プレイヤー見た感じ、まともにプレイできてる人いなかったから」
「あー。そりゃあ現実の運動神経が基準ならまともにたたかえないよ。しず兄はどうなの?」
「ノーダメでボア3体と戦えるぐらいはいける」
「さすがしず兄‼︎」
すずから褒められ、ちょっと頬が緩む。
「なあすず、本当にまだプレイしないのか?種族変える時にレベル引き継げてステ振り直せるよ?」
「うん。種族変えれるようになるまで待つよ。1週間だしね。それにプレイするなら最初から魔法で戦いたいしね。」
「え?魔法ってまだ使えないの?INTに26振っちゃったよ。」
「公式ホームページに載ってたよ。大会が終了すると種族が変更できる、大会以降にログインすると炎属性初級魔のスキルが貰えるって。でも他のプレイヤースキルがものすごく低いと感じるならそれぐらいハンデにもならないんじゃない?」
「そっか、自分でステータス差があってもプレイヤースキルで決まるようなものって言っちゃったしな。優勝できるよう頑張るよ。」
「うん!応援してる。」
その後もすずと会話しながらご飯を食べ、自室に戻って、SWのホームページを見てみた。
『8月7日に大会開催!
参加条件 プレイヤー最高レベル−10レベルまで
大会内容 トーナメントによる1vs1(全員初心者武具)
予選 1
参加したプレイヤーの中から国ごとに2名代表を出す。(参加人数が多い場合はバトルロワイアルで人数を絞ってから)トーナメントによる決勝戦は行わない
予戦 2
国代表をA、Bブロックに別れ、それぞれの優勝者(州代表)を決める。
本戦
州代表2名は決勝以外で当たらないようA、Bにわけ、トーナメントを行う。第一試合で試合時間を計り、A、Bそれぞれ1番早かった選手が準決勝まで進める。残りの2選手ずつがバトルし、勝った方が準決勝に行ける。(勝利者が3人になるのを防ぐため)
報酬はお楽しみに。(本戦参加者は必ず何かがもらえます。)
この他にも、夕食時にすずから聞いた情報も載ってた。とりあえず優勝の前に予選参加のためにレベルを上げよう。