対戦後
カレンとの戦闘が終わると、周りの人達が駆け寄ってくる。ただ、詰められる事はなく、全員一定の距離を保っているけど。
「気持ちは分かりますが、皆さんは今するべきことをして下さい!!」
そんな先生の声が聞こえるけど、みんなは離れない。握手してとか、こっち見てとか色々聞こえて来て、困り果てていたら、上から飛んできた仮面を付けた天使に抱えられ、空に飛んだ。そして天使は仮面を外した。
「スズ、仮面外して良いの?結構スズも有名になって来たから一応つけてた方が......」
スズは、一回ファストの街で俺と事故を起こしたし配信の時もカレンと一緒にいて、更にナンパのせいで配信にも映った。何より、名前が独特過ぎるし、ワールドアナウンスで名前も公開されている。
そう思って確認すると、スズは呆れるように言ってきた。
「何言ってるのシズ兄。同じ仮面付けてたんだからもう仮面の意味ないでしょ」
「......それもそうか」
スズも正体を現したことで、下のみんなは更に興奮したようだったけど、俺とスズが10分ぐらい空を飛んでたら、だんだんと対戦をする人が増えてきていた。
「あれ?スズは誰かと対戦しなくて大丈夫?」
「私のクラス1人体調不良でログインしてなくてね?私は3人ペアになったんだけど、もう正体ばれたし残りのペアの人達も丁度2人組なったから先生も許してくれるんじゃない?」
「そっか。でも一応先生にその事伝えてきたら?」
「うーん......じゃあそうする」
カレンは俺の体を離し、スズのクラスの担任の、40代ぐらいの女の先生のとこに飛んで行った。
すると、リスポーンしてから隠れていたカレンが近くに飛んでくる。
「えっと、ごめんなさい」
「いや、俺の方も少しやり過ぎた感じはするし。ごめん」
「でもスズちゃんも正体ばらす事になったじゃない。私も反省してるから謝らないで」
「そっか。分かった」
「それにしても......」
「うん?」
カレンは物事をズバッと言うタイプなので、歯切れが悪いのが珍しく、聞き返してしまった。
「えっと、そのね?シーの格好も相まって、前世で私が操られてた時より魔王っぽいなって......」
「......もう一回戦う?」
「ご、ごめんなさい!!!」
この世界に来て、魔王と言っても様々な空想の魔王を見た。勇者より正義っぽく、優しかったり、逆に世界で一番の悪で、世界をてにいれようとしたり。シャニーフロンドみたいに魔王が人間の敵じゃなかったりする作品もあった。
でも、今カレンが言ったのは「世界で一番の悪っぽい魔王」の方だろう。
確かに前世で明るっぽい服しか着てなかったから黒っぽい服を着ることが多いし、聖系魔法しか使えなかったから闇系魔法を使うことが多い。この邪龍装備の見た目も性スキルの効果もかなり気に入ってる。
カレンが仮面を割ってきて、身バレしたから対戦をした。ついでに、その前に理不尽な言われようをして、少しイラついてたからその分のストレスも発散しようと、魔法を使えなくして、ステータスと装備の差をフルに活用して瞬殺したりもしたけど、悪っぽい魔王と一緒にされるのは心外だ。




