プロローグ・前
目を覚ますと真っ白な空間にいた。名前は…勇者としか呼ばれなかったので忘れてしまった…
確か俺は…
「勇者様、ありがとうございます‼︎邪神が封印を解いたときは私でももう無理かと思いましたよ。勇者様が命をかけて消滅させてくれたので、貴方の世界には平和が訪れましたよ!」
そうだ、俺は天職「勇者」として鍛錬を積んでいき、人族を裏切った魔族の王、魔王を倒す役目を与えられた。鍛錬を積み、仲間と苦難を乗り越えやっとの想いで魔王を倒せたと思っていると邪神が魔王を操っていたと発覚。そこから人類は追い詰められ、女神様も諦めていた。でも俺達は諦めず、邪神の前まで行き、激闘の末、勇者パーティ全員の命を持って邪神を消滅させたんだ。
今目の前にいるのは女神様。173cmの身長の俺よりちょっと低いぐらいだ。
「貴方は残念ながら邪神との戦いで命を落としましたが、これだけの偉業を成し遂げたんです。来世の要望を聞きましょう‼︎」
俺は今まで邪神が脅かす世界で色々な残酷な者を見てきた。だったら来世は、
「では魔物などがいない平和な世界がいい。命の危険がない世界が。」
「分かりました。私が貴方の来世で影響を与えることができるのは運だけです。貴方に幸運をもたらしましょう。私としては今までの経験を活かして生活をして欲しいのですが…貴方が活躍できる機会をなんとかしましょう。」
「記憶が残るのか?」
「はい。要望通りの世界で充実した日々を送って欲しいですからね」
俺としては平和な世界であればいい。活躍できるのならしたいのでありがたい。
「分かりました。努力してみます。ちなみに、俺の仲間達はどうなったんですか?」
「貴方と同じですよ。来世での要望を1つ叶え、転生させてます。ただし、皆さん別々の世界に行くことになりますね。要望がバラバラでしたので。」
「そ、そうですか…」
会えなくなるのは悲しいがそんなんで自分の要望通りの世界を断るような人たちじゃない。という俺もそうなんだが…
「ではでは、異世界へどうぞ!地球という世界で日本という国で生まれるはずです。魔法などが存在しません。10年前、ウイルスが発生して世界中の人が外に出られない状態で、特効薬などもなく、貴方が生きてる間は外に出られることがないかもしれませんが、15歳ぐらいで活躍できる場を設けます。技術は口で説明してもわからないと思いますので実際に体験してください。ではさようなら〜」
………ん?
「ちょっと待て、そんな世界でどうやって…」
「さようなら〜」
ここで俺の意識は途切れた。