72
会場では、壇上に国王と王妃が堂々と椅子に座っており、その一段ほど下にレオナルドが、椅子に座り、来賓から挨拶をされていた。
全ての来賓の挨拶が終わると、この国の貴族が挨拶をすることになっている。
会場には満15歳以上の貴族しか入れないようになっている。
挨拶をする順番は爵位の高いものから順に挨拶をすることになっている。
その為、クロフォード家が貴族の中で一番爵位が高いので公爵、公爵夫人、ローズマリーの順に挨拶を行う。
最初に公爵と公爵夫人が挨拶をし、その後にひとりローズマリーが優雅なカーテシーをみせてくれた。
ローズマリーが顔を上げると、レオナルドと目があった。
すると、レオナルドが立ち上がり、ゆっくりとローズマリーに近付き片膝をつき、手を差し伸べた。
「レオナルド様?」
「ローズマリー・クロフォード。」
レオナルドにフルネームを呼ばれ、しかも顔がいつもより真面目で眼差しは熱く、ローズマリーはフルネームを呼ばれただけでドキリとした。
返事を返すのも忘れるぐらい、パレード中のレオナルドとは違う。
「ローズマリー、何も言わずに聞いてほしい。」
ローズマリーは少し戸惑ったが静かに頷いた。
「ありがとう。私は、貴女のお陰で変わることができた。今までは本当にどうしようもない人間で、全ての国民から呆れられ、見放されようとしていた。その時、無理矢理私の婚約者になってしまい、貴女には大変迷惑をかけた。」
ローズマリーは、記憶を蘇らせていた。
「嫌々でも貴女は私を正そうとしてくれた。そして、自分がどれほど愚かでバカだったのか貴女のおかげで気が付いた。こんな私を貴女は命がけで守ってくれ、そして私や国民の為に離れようともしている…。」
ローズマリーは、自分で自分の手をぎゅっと握った。
「私には貴女が必要です。ローズマリー、俺も命がけで貴女を守るから、俺の本当の婚約者になって欲しい。なってくれるのなら、俺の手をとってくれないか?」
レオナルドはローズマリーを真剣な眼差しで見つめた。
「ローズマリー、好きだよ。愛してる。」
レオナルドはローズマリーの紅い瞳を見つめていた。
決して瞳をそらさず、ローズマリーの紅い瞳だけを見つめていた。
ここまで言われて、手を取らないという選択肢はない。
今すぐにでも手を取りたい、けれどこの手を取り、自分がこの国に、レオナルドに本当に相応しいのか、やはり身を引いたほうがこの国のためになるのではないか……
会場にいる人達は、ローズマリーの動きに注目していた。
何かを考えたまま、レオナルドをただ見つめているだけのローズマリーを、周りの者たちは皆、見守っていた。
ローズマリーが何か言おうと口を開きかけたとき、会場の入り口の扉が勢いよく開いた。
扉が勢いよく開くと、周りはざわつき出し、
レオナルドも立ち上がり扉の方を見た。
扉を勢いよく開けた人物を目で捉えるとたレオナルドは不思議そうな表情をした。
その表情に、ローズマリーは気になり、扉の方を振り向くと、ローズマリーも表情を変えざるおえなかった。
「ローズマリー、久しぶりだね。」
「ルイ、貴方、どうしてここにいるの…?」
ルイは幽閉されているはず…何故…
ローズマリーは驚きを隠せなかった。




