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「私、おかしくなったのかしら。」
ローズマリーはお城の与えられた部屋でひとり考えていた。
パーティーも最後までは残らずに、抜け出した。
レオナルドは王子なので最後まで残ると言って、ローズマリーを部屋まで送り、また会場へと戻った。
いつもなら、さっと部屋へと戻るのだが、レオナルドの姿が見えなくなるまで、彼の後ろ姿を見つめていた。
「頭がおかしくなったのかしら…」
「頭はおかしくなっていませんよ?ただ恋をしてるからです。」
アリアはローズマリーに寝る前のハーブティーを淹れていた。
「…恋?私がレオナルド様に?」
「そうです。心当たりありませんか?」
アリアはローズマリーにハーブティーを渡した。
ローズマリーはそのハーブティーの香りを嗅ぎながら考えたが…
「確かに好意はあるけれど……。」
傷痕が誇りだと、守ると言われるとドキッとはするし、笑顔も最近はすごく眩しく感じている。
アリアはくすりと笑った。
「ローズマリー様は、自覚がないだけで少し前からレオナルド様を特別に見ていました。」
ローズマリーはこれまでのことを色々と思い出し、更には先程レオナルドに言われたことを思い出した。
「…何だか恥ずかしくなってきたわ。」
アリアは再びニコリと笑った。
「レオナルド様でしたら、きっとローズマリー様を幸せにしてくださいます。レオナルド様しかローズマリー様を幸せにできません。」
「…そう。でもこの傷痕が…」
ローズマリーは無意識に傷を押さえた。
「レオナルド様が、守ってくださいます。私もいます。ローズマリー様は今まで色々と我慢をなさってきました。国の為、領地の為に。領地は今、安定しています。次はローズマリー様が幸せになる番です。」
アリアはローズマリーの手を握り、ニコリと笑った。
「私の幸せ…」
ローズマリーは自分の幸せなど考えたこともなかった。
人の為、家の為、領地の為、国の為。
自分のことは後回しにしてきた。
明日、婚約破棄をするつもりだったけど…。
「私なんかが幸せになってもいいのかしら…。」
アリアは勿論と言った。
アリアは冷めてしまったハーブティーを下げ、新しく淹れ直しローズマリーに手渡した。
ローズマリーはゆっくりとハーブティーを飲み、また考え込んだ。
自分の幸せについて……




