66
「レオナルド様!これは一体どういうことですか?!」
ローズマリーがレオナルドの私室の扉を勢いよく開けた。
「やっぱり、こっちのほうが似合うね!可愛いよ、ローズマリー。」
キラッキラッの笑顔でレオナルドが微笑むと、最近のローズマリーは何も言えなくなってしまう。
建国記念の日、当日に着るドレスの最終チェックが行われた。
前日と共に、胸元が隠れるドレスだったはずなのだが……
「前日のドレスは紅の布地に白金の刺繍で、首から胸元までは厚めの黒のラッセル柄のレースで合っていますが、当日のドレスは首から胸元はレースがなくなっています。これでは……」
そう、傷跡が丸見えだ。
今試着をしているが、本当に丸見えだ。
当日と前日はドレスの色が違う。当日の布地の色は碧、金の刺繍。それは合っている。
「この傷はローズマリーが俺を守ってくれた証。恥じることはないし…それに…」
レオナルドはローズマリーにゆっくりと近づいて、ローズマリーの髪の毛をサラリと手に取り、白金の髪にリップ音と共に唇を落した。
「他の奴らに何を言われても、俺はローズマリーを守る。ローズマリーが欲しい。大好きなんだ。」
ね?
と微笑みながら言われ、ローズマリーの思考回路は停止した。
レオナルドの王子様オーラがとてつもなくキラキラしていて、
ストレート過ぎる告白に正直どうしたらいいのか分からない。
「ローズマリー様、こちらにいらしたのですね。そのドレス、よくお似合いですよ。あ、お邪魔のようですね。失礼致します。」
アリアは、ローズマリーの使用している部屋でドレスの試着をしていたら急に飛び出したローズマリーを追ってきたのだが、目の前でいちゃついてる二人を見て、踵を返した。
「待ちなさい、アリア。」
ローズマリーはアリアの肩をガシリと掴んだ。
「ローズマリー様、どうかなさいましたか?」
アリアはローズマリーに向き直った。
「アリア、貴女、仕組んだわね…。」
アリアはローズマリーに対してとても忠実で、ローズマリーが嫌がることは極力避けていた。胸の開いたドレスなど絶対受け入れない筈だ。
なのに、似合うと…。
「レオナルド様のご希望でしたので、手を加えさせていただきました。とてもお似合いです。」
アリアの口からレオナルドの名前が出てきて驚きはしないが複雑な気持ちになった。
「アリア、貴女はいつから私ではなくレオナルド様の…」
「俺がアリアに頼んだんだ。アリアも胸を開いたドレスの方が、ローズマリーには似合うと思っていたから協力してくれたんだ。」
アリアはにこりと微笑んだ。
「ローズマリー様、他の方々から何を言われても、私が守ります。気に病む必要はありません。」
「アリア、ローズマリーを守るのは、俺だから!!」
「いいえ、私です!」
二人がぎゃあぎゃあとしているのを見て、ローズマリーはクスリと笑った。
「二人とも、ありがとう。」
ローズマリーの笑顔は華が咲いたように綺麗だった。




