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応接室では
ローズマリーとレオナルドは同じソファに座り、対面側のソファにはリリエが一人で座った。
「ジョ…ジョシュアお兄さまは?」
リリエが恐る恐るローズマリーに聞いたが、ローズマリーはただじっとリリエを見つめているだけだった。
「ローズマリー?」
レオナルドがどうしたんだろう?と思い、ローズマリーに呼びかけてもただじっとリリエをみているだけだった。
「お姉さま…あの…。」
リリエはびくびくしながらもう1度ローズマリーに話しかけたが、ローズマリーは反応をしない。
沈黙の時間が過ぎていく。
リリエもレオナルドも流石に居心地が悪くなってきたが、扉をノックする音が聞こえ、ゆっくりと扉が開いた。
「姉さま、遅くなってすまない。」
ジョシュアがため息をつきながらリリエの隣に座った。
「ジョシュアお兄さま…」
リリエは涙目でジョシュアに助けを求めたが、ジョシュアの瞳は冷たいものだった。
「リリエ、お前は不味いことをしてくれたな。」
リリエはジョシュアの言葉にきょとんとした。
「ジョシュアも来たことですし、リリエ、貴女の今までの事、今後のことをよく話し合いをしましょうね。」
ローズマリーはニコリと笑ったが、ここにいる者はこれが本当の笑顔でないことはわかっていた。
「ではまず、レオナルド様。リリエの授業中の様子をお聞かせください。」
突然、話を振られたレオナルドはびっくりしたが、見たままされたままのことを話した。
「留学…勉学を学ぶと言うより、他の生徒の邪魔をしています。ほとんど俺にべったりくっついていたり、授業中に喉が渇いたと言って、皇女である私の言うことが聞けないの?と言って先生方を困らせたりしてます。」
「レオナルド様、そこはレオナルド様がビシっと叱って下さい。」
ローズマリーはレオナルドをきつく睨んだ。
レオナルドはこのローズマリーの瞳を知っている。何度もこの瞳のあと叱られた。
「レオナルド様のことでしょうから、きっと優しく注意をしただけでしょう?休憩時間になったら早急にお茶をお持ちします。などと言っているのでは?」
レオナルドはその通りだったので何も言い返せなかった。
「図星ですか?レオナルド様、多少は成長しましたが、あの時と同様に事が大きくなり、自分自身や周りをも巻き込んでしまうこと、忘れないでください!」
ローズマリーは珍しく感情的になってしまった。
あの時は、事が大きくなり、ローズマリーの身体に傷が付き、周りの反応も変わった部分もある。
それを思い出すだけで、ローズマリーは胸がぎゅっと痛くなる。
貴族の行動・言動には全て自分自身に責任があると。
皇族・王族なら尚更で、自分たちの一つ一つの行動が、国民全員に見られているという意識をもたなければいけない。
傷が一つあるだけで、手のひらのようにコロッと態度を変える者たちがいるということを肝に銘じていないといけない。
レオナルドには、私がいなくても立ち回れるようにならないといけないのだから……。




