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「リリエ、いい加減にしなさい。レオナルド様の邪魔だわ。」


城に戻るとレオナルドにベッタリとひっついていたリリエをローズマリーが引き離した。


「ありがとう、ローズマリー。」


レオナルドは疲れた顔をしていた。


「ローズマリーお姉さまには関係ないでしょう?レオナルド様と婚約を破棄するんだから!私なら、レオナルド様を悲しませたりしない。だって好きなんだもん!」


リリエは瞳をうるうるさせながら訴えた。


「では、この疲れ切ってるレオナルド様のお顔は誰のせいかしら?」


リリエはそう言われて、レオナルドの顔を見た。確かにレオナルドの顔は疲れているように見える。


「わ…私のせいなの?!好きだから一緒にいたいし、くっつきたいのは当たり前の感情でしょ?!」


とリリエはレオナルドに同意を求めるかのように話た。


「リリエだけの感情よ。レオナルド様にとっても迷惑でしかないわ。それに、貴女の行いのおかげで、ファラージア皇国の品位が疑われることを分かっているの?」


リリエはきょとんとしていた。


「貴女の身の振る舞い、学園での過ごし方に苦情が出る寸前よ。貴女のクラスの方々が、貴女の苦情を家族に話をして、それが社交界で広まってしまったらどうなるか分かっているのかしら?」


「こんな国で苦情が出ても、痛くも痒くもないわ。」


リリエの言った一言にローズマリーがひっかかった。


「…こんな国?」


「えぇ。レオナルド様には悪いけど、カルディアス王国は、小国だわ。それに数日学園に通いましたが、平民が貴族と同じ学園で学ぶのは正直不愉快ですわ。」


「不愉快?」


今度はレオナルドもひっかかった。


「そうですわ。だって、レオナルド様、考えてもみてください。平民が学問を学び教育を受けて何になります?必要がないわ。学者も医者もお城で働く人達の出生は皆、貴族ですわ。よくて、どこかの貴族の下働きとしてしか雇われないわ。レオナルド様、目を覚ましてください。貴方は王子ですわ!わざわざ、平民のもとに行かなくても良いのです!」


レオナルドの肩は小刻みに震えていた。

リリエはその様子に気付かない。


「目を覚ましてください!レオナルド様!」


「目を覚ますのは貴女の方よ、リリエ」


その言葉と同時に、

バシーンッ!と部屋中に乾いた音が響いた。


リリエの右頬は赤く腫れていて、ローズマリーは自分の左手を労るかのように擦っていた。


「黙らせるには、平手打ちが一番ね。リリエ、いい加減にしなさい。」


リリエは自分の右頬に手を当ててぽかんとしていた。


「さぁ、リリエ。私とお話をしましょう?」


ローズマリーはニコリと笑ったが、瞳だけは笑っていなかった。

リリエの瞳にはローズマリーの後ろに黒いものが見えたような気がした。










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