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ジョシュアとリリエは滞在中の間、留学生として王立学園で勉強をする。
リリエはレオナルドと同じクラスに。
ジョシュアは一般クラスで学ぶことになり、皇子が一般クラスに一人はどうなのか…ということで、ローズマリーがジョシュアに付き添う形となった。
「私も暇ではないのだけれど?ジョシュア。」
「貴族の学校に、平民も受け入れてるなんて、うちの国ではまず有り得ないだろうから楽しみだよ。」
一般クラスへ向かう途中で、二人は教師に案内されながら肩を並べて歩いている。
ジョシュアとローズマリーを受け入れるクラスの教師は貴族だが緊張している。
「教育に貴族も平民も関係ないわ。レオナルド様も毎日一般クラスに訪れて、色々とお話を聞いてるみたいですから。」
レオナルドは毎日一般クラスを訪れ、一般クラスの人達の話を聞いている。
最初だけかと思ったら、まだ続いているようで、ローズマリーも驚いていた。
「…姉様。今、とても穏やかな顔をしていますよ。」
ジョシュアに指摘されるまで、自分がどんな顔をしているかなんて、気に留めていなかった。
「…穏やか?」
「毒気が抜けた顔をしてますよ。ただ自覚がないだけで、結構レオナルド様のこと好きですよね?正直に生きたほうがいいですよ。」
「正直に?」
「えぇ。今の姉様の顔は恋してる乙女でしたから。」
ジョシュアは微笑みながらそう言い、そのまま前を見ながら歩いた。
ローズマリーは歩きながら、ジョシュアに言われたことを考えた。
「…様、姉様!昼休憩ですよ。」
ローズマリーがはっと気づき、あたりを見回すと一般クラスの教室にいる生徒はもういなくなっていた。
一般クラスは一般クラスで食堂があり、そちらに移動したようだ。
中には寮の食堂でお弁当を作り持参する者もいる。
「…考え事をしていたわ。」
「へぇ?」
ジョシュアはニヤニヤと笑うだけ。
食堂に着くと更にジョシュアはニヤニヤとしていた。
「ローズマリー!ジョシュア様、こっちこっち〜!」
「レオナルド様?!」
レオナルドが食堂の隅の方のテーブルを陣取り手招きをしていた。
その姿は一国の王子とは思えない。
ジョシュアは吹き出して、肩が震えていた。
「二人の分のランチも頼んでおいたよ?一般クラス専用食堂のマダムのオススメ日替わりランチを!」
レオナルドはキラキラしているが、ドヤッた顔をしていた。
「レオナルド様、私は頂きますが、ジョシュアは…」
「俺も頂くよ?美味しそうだし。レオナルド様、リリエは?」
ジョシュアにそうふられて、レオナルドは固まった。
「ジョシュア様、リリエ様をなんとかしてくれないか…?」
ローズマリーは何かあったのかとレオナルドに聞くと、レオナルドはすごい勢いで話を始めた。
やたらベタベタとくっついて授業どころじゃないとか、他の貴族を召使いにするとか、先生に盾ついて授業を妨害するとか、お昼も国から連れてきた料理長に作らせていて、その間に逃げてきたと。
「リリエは、根っからの貴族脳だからな。俺らがここでランチしてるのを知ったら卒倒するぞ。美味いのに。普段食べてる食事は豪華で美味しいが、こちらの方が格段に美味い。」
「美味しいですわ。」
ローズマリーが少しだけ微笑むとレオナルドも微笑んだ。
「ローズマリーの笑顔って本当に癒やされる。」
先程のリリエのことはどうでも良くなったのか、ニコニコとローズマリーを見ている。
「……あまり見ないでください。」
ローズマリーが少しだけ頬を赤らめると、それに気付いたレオナルドはまた更にニコニコとローズマリーをみている。
「バカップルだな。だが、不味いことになりそうだな。」
ジョシュアはそうポツリと呟いた。




