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二人の間には時がゆっくりと流れていた。
それをぶち破ったのが…
「レオナルド様〜!こんなところにいらしたんですね!あ、ローズマリーお姉さまも!」
リリエは二人を見つけ嬉しそうにはしゃいでいた。
先程までローズマリーとレオナルドはいい雰囲気だっただけに、リリエが現れて二人は明らかに戸惑っている。
「リリエ様…もう挨拶はよろしいのですか?」
「えぇ!あとはジョシュアお兄さまが対応するから大丈夫です!あちらで私とお話しましょう?」
リリエはぎゅーっとレオナルドの腕にしがみついた。
ローズマリーは、静かに席を立った。
「私は、部屋に戻りますわね。ジャケットも貸していただいてありがとうございました。リリエ、こちらのお食事はレオナルド様とお二人でどうぞ。」
ローズマリーは二人に話しかけられる好きも与えずに、バルコニーをあとにした。
背後からはリリエの嬉しそうな声が聞こえ、胸がズキリズキリと痛んだが、気にしないように徹底した。
「リリエが来ていなかったら…」
レオナルドの真っ直ぐな碧い瞳に吸い込まれそうな感覚におちいってしまっていた。
その先はどうなっていたのかは分からないけれど、リリエが来てくれてホッとしたのは事実だ。
そして、リリエが来てくれて残念なのも事実…。
「…困ったわね。」
ローズマリーは自分の部屋へと足早に戻った。
「レオナルド様は、ローズマリーお姉さまとお二人で何を話していたんですか?」
リリエは二人が婚約者であること、レオナルドがローズマリーを好きだということを知らない。
「リリエ様、挨拶の時言えなかったことがあります。」
リリエはきょとんとしていた。
「ローズマリーは俺には婚約者がいないと好きな人はいないと言っていましたが、申し訳ありません。」
レオナルドは頭を下げた。
「え?え?」
リリエは戸惑うばかりだ。
「ローズマリーが俺の婚約者で、俺の好きな人はローズマリーなんです。」
リリエは、持っていたお茶のカップを落としそうになった。
「だって、お姉さまはいないって…。」
「ローズマリーは破棄するつもりみたいだから、そう言ったんだと思う。でも、俺は破棄するつもりはないから。」
リリエはそう言ったレオナルドの表情が少し悲しそうだったのが気になった。
「私なら、レオナルド様にそんなお顔をさせません。」
小説のヒーローと外見が似ているため、キャーキャーとしていたが、レオナルド の悲しそうな表情がすごく気になって仕方がなかった。なんとかしてあげたいと思ったのだ。




