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使用人が使う休憩室はそんなに広くはない。多少狭くてなっても、自分が窮屈になろうと、どうしてもレオナルドにお願いしたいことがあったのだ。
「レオナルド様はお気付きでしょうが、ローズマリー様の異変についてです。」
ジャックはレオナルドの目を見て話をした。
「最近、何か距離が遠くなった気が…。」
ジャックとアリアは小さく頷いた。
「先日、公爵が訪れた時に婚約の件を話されておりました。身を引けと公爵は仰り、ローズマリー様は約束の期日になったら、身を引くおつもりで距離を置いていると思います。」
アリアは淡々と話していたがどこか元気がない。
「ローズマリー様は、レオナルド様と関わってから毎日が生き生きと楽しそうでした。もちろん、前からそうでしたが、より一層楽しそうでしたが…。」
「毎日、眉間にシワを寄せ、どことなく覇気がないローズマリー様は辛そうで…」
ここにいる使用人全員が頷いた。
「俺が守ると言ったのに…。」
「我々、使用人一同はローズマリー様が幸せに暮らすことを望んでいます。」
ジャックがレオナルドをまっすぐ見ると、レオナルドはクスリと笑った。
「ローズマリーに復讐しようとしてた奴がそんなことを言うなんて。」
「え?なんで、知って?!」
レオナルドはニヤニヤとアリアの方も見て、アリアもニヤニヤとしていた。
「ローズマリー様関連につきましては、私の方からお手紙をレオナルド様に毎週送らさせていただいています。」
「ローズマリーは教えてくれないだろうから、アリアに頼み込んだ!」
ドヤッとしてるレオナルドの姿にジャックは呆れたが、馬鹿だけどレオナルドならなんとかしてくれるんじゃないかと本気で思った。
「まぁ、それはさておき、ローズマリーの笑顔はとても美しいから、それがなくなるのは寂しい。俺は俺なりのやり方でローズマリーを守り、婚約破棄にはさせない!!」
と堂々と使用人達の前で堂々と宣言した。
どこかバカだけど、その言葉は嘘ではなく本気でやってくれそうだと思い、
使用人全員がレオナルドに再度頭を下げた。
ここにいる使用人全員が、ローズマリーが心から幸せになることを願っていた。
レオナルドは帰りの馬車の中で色々と考えていたが、考えがまとまらずに城についてしまった。
「…うーん。どうしたら…」
考えながら城内を歩いていると、目の前には王妃である母親がいつの間にか立っていた。
「レオナルドが考え事なんて珍しいわね。」
ローズマリーと噂の出どころを確かめた日以来、母親とはまともに顔を合わせていなかった。
「俺に何か用ですか?」
「今日は帰りが早いのね?」
「貴女には関係ないでしょう?」
レオナルドがそう冷たく言いうと、王妃は傷付いたような顔をした。
「母上、貴女は一体何を隠しているんですか?」
レオナルドは王妃に詰め寄り、何度も教えて下さいと言った。
王妃はため息をついて何かを諦めたように見えた。
「…話すわ。場所を変えましょう。」
レオナルドは王妃の後ろをついて行った。




