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「何なのよ、何なのよそれ…。私の前でいちゃつくなんて…この浮気者っっ!!私を王妃にするんじゃなかったのっ?!贅沢ができないじゃないっ!!どーしてくれるのよ!!私は、王妃になるべき人間なのよ!!あーぁ、あの時もっと深く刺すんだった。そしたら、レオ様は私とずっと一緒ですものね?」
イザベラはガシャガシャと鉄格子を揺らしたあと、うっとりとレオナルドを見つめた。
「贅沢?」
贅沢という言葉にレオナルドもローズマリーも引っ掛かった。
「王妃になれば贅沢できるじゃない!欲しい物が好きなだけ手に入るんだもの!今までだってレオ様に可愛くおねだりしたら、買ってもらえたもの!好きな振りをしてたら買ってもらえたもの!簡単だわ!」
ローズマリーはイザベラの発言に眉をひそめた。
「貴女はただ贅沢がしたい為に、レオナルド様に近づいて好きな振りをしていたというの?」
「そうよ。でもね、顔と王子という肩書きは好きよ?宝石とドレスが好きなぐらい好きよ?」
イザベラは、うっとりしながらレオナルドの顔を見ていた。
レオナルドは絶句していた。
あまりにも自分が愚かだと…自分自身にも腹が立っていた。
「レオ様、早く私を贅沢な暮らしに戻させて?」
イザベラの手が鉄格子の隙間から伸びてきて、レオナルドは一歩後ろに下がった。
その手をガシッと掴んだのはローズマリーだった。
「…何するのよ。離しなさいよ!あんたに触られたくないんだけど!」
「いい加減にしなさい、イザベラさん。」
ローズマリーはぎゅっと手に力を込めると、イザベラは痛そうな顔をした。
「贅沢できるのはね、その分責任があるからよ。だから贅沢していても許されているのよ。貴女みたいな人は王妃にはなれないわ。」
ローズマリーは掴んでいたイザベラの手を離した。
「イザベラ嬢、俺は君のことが好きだったよ。誰よりも明るくて、いつも笑顔な君が好きだった。王妃にしたいと思っていた。…ごめん。こんな風になったのも俺が悪い。ごめん。」
レオナルドはローズマリーを支えながら頭を下げた。
「…ょ、謝らないでよ。私が惨めになるだけじゃない!帰って!早く帰って!あんたたちの顔なんて見たくない!帰ってよ!」
イザベラは帰ってと二人に言いながら泣き崩れた。ローズマリーとレオナルドはゆっくりと静かにその場から離れた。
「思い通りにはいきませんでしたわね。」
ローズマリーは、ベッドに腰を下ろしため息をついた。
「…色々とごめんなさい。」
「本当ですわ。反省なさってください。…私もですが。」
レオナルドはローズマリーの隣に腰を下ろした。
「ローズマリーは俺のためを思ってしたことなんだから、反省することないから。」
にこりと優しい笑顔で、俯いていたローズマリーの顔をのぞきこんだ。
ローズマリーは少しだけ、どきっとしてしまった。
「……この笑顔は天然なのかしら?計算なのかしら?」
「え?」
レオナルドは、なんのこと?と何も分かっていないようだった。
「いえ、何でもないですわ。それより、今後のことを考えましょう?」
ローズマリーの提案にレオナルドは頷いた。




