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ノワール男爵は爵位を返上して、ただのノワールとなった。


裁判までの間、入っていた牢屋は貴族用だったが、平民になったため牢屋も移動となった。


「意味がわからないわ。私は、将来の王妃よ!こんな所に閉じ込めて、後でどうなるかわかってるの?!出しなさいよ!!」


牢の鉄格子をガチャガチャと揺らすが、牢番は全く気にもとめていなかった。


「ちょっとあんた、聞いてるの?!」


イザベラのイライラはピークに達していた。


カツンカツンとヒールの音がイザベラの耳に聞こえてきた。

もちろん、牢番も聞こえていて牢番は片膝を付き、足音の者が来ると頭を下げた。


「久しぶりね、イザベラさん。」


忘れもしない、サラリと真っ直ぐな白金の髪に紅い瞳の女性。

その女性を支えるように隣にいるのがキラキラと輝いている金髪に碧い瞳の男性。


この二人のことは忘れもしない。


「レオ様!私を助けに来てくれたんですか?そーですよね、その女が悪いんですもの!その女がこの牢に入るんでしょ?私、わかってましたから!」


イザベラはガチャガチャと鉄格子を揺らす。


「イザベラさん、貴女は自分が何をしたのか思い出せないのかしら?」


イザベラはきょとんとしていて、何を言っているのか分からないようだ。


「イザベラ嬢…。」


レオナルドはイザベラのことを哀れに感じた。

この牢屋に入っていることも、こんなふうになってしまったこと全てが哀れに感じる。


「あんたが私のレオ様を奪ったのは分かってるわ!その怪我も天罰よ!」


あははと声高らかに笑うイザベラは目の焦点があってないように見えた。


「レオナルド様を奪ったと仰るのなら、何故貴女は自分を変える努力をしなかったのかしら?周りや他人のせいばかりにして、自分の努力を怠ったのですか?貴女がレオナルド様と同じ様に変わっていたのなら、気持ちが離れなかった可能性もありますわ。」


イザベラはぎゅっと鉄格子を握っていた。


「…変わる?何で私が変わらなくちゃいけないのよ!あれだけ私のこと好きだの愛してるだの抜かしてた癖に、簡単に心変わりするなんて!」


「簡単に心変わりしたわけじゃないんだ、イザベラ。」


レオナルドの声は優しかったが、瞳はとても鋭かった。


「レオ様?」


「ローズマリーと過ごすうちに、色々と考え方が周りの景色が変わっていったんだ。それでも、イザベラのことを好きだった。ただ、俺が国王になったとき、隣にイザベラがいて一緒に国を繁栄させ守るというのが想像できなかった。見方が変わったんだ。」


イザベラの顔つきがどんどん険しくなっていった。


「そして、ローズマリーに惹かれていった。褒められた時すごく嬉しいし、一緒にいると何をしていてもどこにいても楽しい。一緒にいるとすごく癒やされるんだ。たまにきついことも言われるけど、それは俺の為に言ってるって分かってるから。」


優しい表情をしてローズマリーについて語るレオナルドは、本当に愛おしそうにしている。

ローズマリーを支えているのも、ローズマリーを気遣っているのを伺える。


ただ、イザベラにとってはとても不愉快でしかならなかった。







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