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04

王立学園


国の最高峰の学校。

貴族と優秀な平民が学ぶ学校。


貴族と平民ではクラスは違う。

貴族クラスと一般クラスがある。

一般クラスは優秀な平民のクラス。


数々の定期テストで学年トップなのが、レオナルド王子。


さすがというべきだが、彼は休み時間に食堂のテラス席で仲間と昼食をとりながら考えていた。


「あのローズマリー嬢と婚約?!レオナルド王子、おめでとうございます!」


眼鏡をかけたいかにも見た目は真面目そうな少年が言葉とは裏腹にケラケラと笑っていた。


「ロック!よくない!俺にはイザベラがいるのに…。」


「ローズマリー嬢は黙っていればかなりの美人。連れて歩くには申し分はないぞ?」


レオナルドは頭を抱えていた。


「まぁまぁ、きっとレオナルド様のお気持ちは国王陛下にも伝わりますよ。レオナルド様の気持ちが伝われば婚約も考え直してくれますよ?」


短髪のがたいのいい少年が穏やかな笑みでレオナルドを宥めていた。


「フランク!そうだ!そうか!婚約破棄だ!」


レオナルドは何か閃いたようだ。


「話を聞く限りじゃ、レオナルドから婚約破棄は無理じゃないか?二人ともが喜んでいるんだろ?むしろ、頭下げてお願いしたのは国王陛下と王妃様だろ?」


すかさずロックが突っ込んだが、


「婚約を破棄するように、俺が嫌われればいいんだ!さすがだ、フランク!」


レオナルドはロックの話を聞いていないようだ。

レオナルドは一気に上機嫌になり、昼食のサンドウィッチを食べ始めた。


ロックは侯爵家の子息で、レオナルドの次に頭がいい。

フランクは伯爵家の子息で、騎士団に入るべく体を鍛えている。

3人は幼い頃からよく一緒に遊んでいる。



「あら、レオ様。こちらにいらしたんですね?」


茶色いふわふわっとした髪のイザベラがレオナルドに声をかけた。


「やぁ、イザベラ。イザベラも一緒に昼食をどうだい?」


レオナルドの隣が空いていたので、イザベラは当たり前のようにレオナルドの隣に座った。


「嬉しい!でも、もう昼食は済ませたので、お気持ちだけいただきますね?」


イザベラはふわっとした優しい微笑みをレオナルドにむけた。


「イザベラは本当に可愛いね」


レオナルドは愛しそうにイザベラを見つめた。


ロックとフランクはまた始まったよっというような顔をした。


「レオ様、先程聞こえてきたのですが、ローズマリー様とのご婚約を破棄するのは本当ですか?」


「あぁ、もちろんだ!ローズマリー嬢だって、俺との婚約を破棄したいはず。年齢も離れているし…。それに、俺はイザベラのことが好きだから、イザベラ以外は考えられない。」


レオナルドは片手にサンドウィッチを持ちながらイザベラの頬を優しく撫でた。


「レオ様、嬉しいです!」


イザベラは甘えるようにレオナルドの手に自分の手を添えた。


ロックとフランクは気をつかって、その場から静かに立ち去った。





「…なぁ、フランク」


「どうしたんだい、ロック?」


レオナルドとイザベラを遠くから見ながら、二人は話を始めた。


「フランク、お前、本当に婚約破棄できると思ってるのか?」


フランクは少し考えた。


「…いや、わからない。ローズマリー様は目的のために手段を選ばないお方だと聞いている。それに、ローズマリー様の行いは大抵正しい。」


「だろうな。だが、なぜ婚約破棄を後押しをした?」


ロックは鋭い眼差しでフランクを見た。


「…ロックならわかるだろう?」


ロックはため息をついた。


「友人としてレオナルドの幸せを願う…か。だが、それが必ずしも良い結果になるとは限らない…。」


フランクはロックのことを不思議そうに見つめた。


「レオナルドは王子として、次期国王としての資質が疑われている。だからこそ、ローズマリー嬢が選ばれた。ローズマリー嬢以外に王妃として相応しい令嬢はいない。」


「…ロック?」


フランクはロックの言いたいことがまだわからないようだ。


「今のままだと、レオナルドが国王になったら、国は荒れるだろうな…。何より国民が納得しない。だからこそのローズマリー嬢なんだよ、フランク。俺も幸せになって欲しいとは思うけど…国が荒れるのはな…。」


「…ロック。」


ロックはフランクの肩をポンと叩いた。


「レオナルドが王子としての信用を取り戻せばいいだけさ。まだ時間は充分にある。考えても仕方ないさ…。」


フランクは頷き、二人はその場から離れた。







二人のやりとりを聞いてた人物がひとりいた…。


「婚約破棄ね…。勝手なこと言ってくれるわね。気が向いたらしてあげてもよろしいけれど、今のままだと無理ね。あれが国王になったら、国民から暴動が起きるわ。わかってる子もいるけど、わからない子もいるわね……。」


ローズマリーは軽くため息をついた。

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