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お城の大広間ではキラキラと輝くシャンデリアに、壁際には美味しそうな食事やデザートがテーブルに並べられている。
きらびやかなドレスに身をまとった淑女達が一層会場を華やかにしている。
そんな中で、一人だけ浮いている女性がいた。
原色のピンク色のドレスにはフリルがたくさんついており、そのフリルの至る所にドット柄のリボンが盛大にあしらわれている。
その女性が通り過ぎたあとにはクスクスと笑い声が聞こえている。
趣味が悪いと…。
「ロック様!フランク様!」
ロックとフランクは呼びかけられて振り向いたら、あまり趣味がいいとは言えないドレスを纏ったイザベラがいた。
「「イザベラ嬢。」」
ふたりはそのドレスに目を奪われた。
悪い意味で。
「…す、すごいドレスだね。」
「…他の人とは違いますね。」
明らかにふたりは、引いていた。
「とても可愛いでしょう?私が初めてデザインして作らせたんです!」
どう?可愛い?というアピールがすごかったので、ロックが話を振った。
「俺達に何か用があったんじゃ…。」
「レオ様はまだ来てないんですか?国王様と王妃様もう来て挨拶まで終わったのに…」
「レオナルド様をなぜ探してるんですか?」
フランクがもう彼女じゃないのに。
と言おうとしたら、会場がざわつき始めた。
ざわついている先には礼服に身を包んだレオナルドと、紅いドレスを身にまとっているローズマリーがレオナルドにエスコートされながら入ってきたのだ。
二人は一直線に国王と王妃の元にいき、挨拶をした。
レオナルドは頭を下げ、ローズマリーはとても優雅なカーテシーをした。
国王と王妃は二人に何か話しかけて微かに笑うと、音楽が流れ始めた。
二人は自然と大広間の中央にできたスペースで音楽に合わせながらダンスを始めた。
とても優雅でキラキラしていて、会場にいる全員が二人から目を離すことが出来なかった。
もちろん、イザベラも。
イザベラの耳には二人に対しての称賛の声が聞こえてきた。
「ローズマリー様をお久しぶりに見かけましたが、やはり美しい。」
「とても優雅で気品があって…次期王妃様に相応しいですわね。」
「レオナルド様も王子らしくなってきたことですし、この国も安泰だ。」
「とてもお似合いの二人ですわ。」
イザベラは、手に持っていた扇子をぎゅっと握りしめた。
「私が今までしてきたことが水の泡じゃない…。あの場所にいるのは私だった筈なのに…。」
イザベラはぶつぶつと呟いてた。
「意外とダンスがお上手ですのね?」
ローズマリーはレオナルドがリードが出来ていることに驚いた。
「王子だからな!」
レオナルドは踊りながらも、どうだ!すごいだろ!という態度をしていた。
ローズマリーはクスっと笑った。
音楽が止まると二人も踊り終わると、会場からわれんばかりの拍手が起きた。
その拍手に応えるかのように、レオナルドはお辞儀をして、ローズマリーはカーテシーをした。
ローズマリーは視界の端に捉えていたイザベラの姿がいつの間にかいなくなっていることに気が付いた。
「…まずいわね。」
ローズマリーの胸に不安が残ってしまった。




