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「返事が遅いんじゃないの?ジャック。」
前と同じ場所で、イザベラとジャックは会っていた。
「…協力すればいいんだろ?」
ジャックは半ば投げやりのような態度で返事をした。
イザベラはとても嬉しそうに、1つの小瓶を出した。
「これ何かわかる?」
青色の小瓶に入っている液体なんて、見ただけではわからない。
小瓶を光に当てたりしても、なんの変化もない。
「どーせ、ろくでもないものだろ?」
ジャックはバカバカしいと言わんばかりで、また小瓶を手にとっていた。
「あたり。これをあの女の食事に混ぜてほしいの。」
イザベラはニヤリと笑った。
「どれだけ混ぜればいいんだ?」
ジャックは、小瓶を手に取ったまま小瓶を不思議そうに見ていた。
「そうね…この小瓶の3分の1を混ぜれば確実に死に至るわ。」
イザベラは無邪気に笑った。
それとは裏腹に、ジャックは目を見開いた
「どういうことだよ!」
「下剤かなんかだと思ったの?毒よ毒。これで、あの女がいなくなれば、レオナルドは私に戻るだろうし、あんただって復讐が成功するじゃない?悪い話ではないけど?」
まさかそこまでイザベラが馬鹿な考えを起こしていたなんて…
「あんただって、あの女に復讐するためにわざわざ執事見習いしてるんでしょ?」
イザベラは飲み物を飲みながらジャックに聞いたが、ジャックは無言のまま。
「もしかして、復讐やめたの?あれだけ意気込んでたのに?」
「…やめたわけじゃない。ただ、死ねばいいとかは思っていない。」
「じゃあ、何の為の復讐なわけ?まぁ、いいわ。それはあんたに託すわ。好きなときに使いなさい。私はまだ別の手段もあるから。」
イザベラはまたニヤリと笑った。
「貴方が、あの件で国外追放されたある貴族の息子だってことはまだ内緒にしてあげるわ。」
イザベラはニコリとジャックに微笑みかけた。
ジャックは、とても嫌そうな顔をした。
「イザベラ、そんなことしてもあいつは、イザベラに戻らないと思うぞ。それにこの小瓶は返す。俺は俺のやり方で復讐する。もう協力はしない。」
ジャックは小瓶をイザベラに突き返した。
突き返したと同時に席を立った。
「あら、いいの?私、言うわよ?」
「勝手にしろ。」
ジャックは語気を荒げ、そのままスタスタと歩き店から出ていった。
「ふん。所詮、そんなものよね。復讐する気なんてない癖に。」
イザベラは飲みかけのお茶をゆっくりと飲んだ。




