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騎士達は子どもを保護した。中には衰弱している子、怪我をしている子もいて、念の為に医者と医者の助手を呼んで正解だった。
「ルイ、もう一度問うわ。これが、良いことなのかしら。」
「…ローズマリー、僕はどうすれば正解だったの?お父様にも褒められたのに。」
「これは正解じゃないと分かるわよね?」
「……みんな喜んでるのに?」
ルイは本当に分からないみたいだ。
「貴方が侯爵を止めなくてはいけなかったの。子どもたちが、こんなに衰弱して怪我もしてるのに……。」
ローズマリーはルイが正しいことが分からなくなってるので肩を落とした。
騎士団長がルイを連れて行けと指示を出し、ローズマリーは騎士に拘束され連れて行かれるルイの後ろ姿を悲しそうに見つめていた。
オーウェンス伯爵の元に一人の騎士が息を切らしながら耳元で何かを話していた。
「ローズマリー嬢、ブルース侯爵と侯爵に協力していた貴族と商人を拘束した。やはり、全く採れない所を貸出、稀に採れたとしても低い値段で買取っていたみたいだな。一部の貴族はサクラとして、鉱物が採れる芝居をして報酬を得ていたみたいだな。」
「やはりね。セバスチャンに渡された資料の中におかしな部分があったので、まさかとは思ったけれど。あと、ルイが言うには今日孤児院で人身売買の取引があるそうよ。」
ローズマリーはオーウェンス伯爵に耳打ちをして、話した内容に驚いたが黙認してくれた。
「お待ちしておりました。ご希望の子ども達はこちらです。」
夜も遅く、暗闇の中でブルース侯爵領地にある孤児院に、でっぷりとした体型の男性が一人の女性を連れて訪れていた。
孤児院の院長はその女性のことが気になったが、深く帽子を被り顔が見えなかった。
「院長、これは私の新しい妻でしてね。どうしても自分の目で確かめたいと言うのだから連れてきたんだよ。妻の知り合いの貴族に売るんでね。」
女性は院長に軽くお辞儀をした。
「そうでしたか。こちらへ。」
院長に案内された部屋に、数名の子供が怯えていた。
「この子どもがご希望に添えれると思います。奴隷が希望と聞いておりますので。」
一人の少女が院長によって無理矢理立たされ、でっぷりとした男性に放り投げるかのように投げつけた。
男性は懐から札束を渡した。
「これだけあれば、足りるだろう?」
「もちろんですとも!」
院長は札束を受け取り、自分の懐に入れたその瞬間、院長はいきなり誰かに押し倒されうつ伏せの状態にさせられ、腕を拘束された。
ドスっと院長の顔の横にキラリと光る小刀が床に突き刺さっていた。
カツッとヒールのなる音がして院長は顔を上げるとニヤリと笑う女がいた。
取引相手の新しい妻だと言われていた女だ。
院長は女の横にいる取引相手に目をやると、誰かに羽交い締めされていた。
「私の名前はローズマリー・クロフォード。安心して?私はでっぷりとした体型の男…あなたの取引相手の新しい妻ではないわ。」
院長はクロフォードと聞いてゾクリとした。
筆頭貴族の令嬢が何故…
「聞きたいなら、聞かせてあげるわよ?」
ローズマリーはしゃがみこみ、持っていた扇子で院長の顔を上げさせた。




