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クロフォード公爵邸に戻ると、見知らぬ馬車が何台か停まっていた。
不思議に思っていると、玄関から数人の貴族が出てきた。
「公爵が動いて貰わないと!」
「領地の…国民に被害が出ているというのに…全く。」
「話にならなかったな…。」
数人の貴族が項垂れている所をローズマリーが声をかけた。
「そのお話、詳しく聞かせてくださいます?」
「お父様!どういうことなんですか?!」
ローズマリーはアドルフの執務室の机に書類を叩きつけた。
「なんだ、騒々しい。」
アドルフは処理をしていた書類の上に叩きつけられたので少し機嫌が悪い。
「こんなにも詐欺の被害の署名があり、証拠もあるのに、何故先程たちの方の話をきかないんですか?!」
「聞いても無駄なだけだ。本当に侯爵が詐欺をしてるのも疑わしい…。」
「そんな…」
ローズマリーはアドルフの言い分に絶句した。
「自分のことが大事なら、家族が大事ならこの件から手を引きなさい。」
絶句したままだったが、この言い分にはローズマリーは納得できなかった。
「騙された人達にも大事な家族がいます。貴族相手でクロフォード家は公爵であり、筆頭貴族です。公爵が動かなけれは、誰が動くというんですか?!」
ローズマリーは勢いよく机を叩いたが、アドルフはため息をつくだけだった。
「旦那様、失礼します。」
執務室に一人の女性が入ってきた。
「レイチェル、どうした?」
「廊下まで声が聞こえてますよ?」
「…お義母様からもお父様に言ってください!」
レイチェルはローズマリーにニコリと笑った。
「ローズマリー…、旦那様の言うように家族が大事なら引くべきです。貴女の義妹義弟はまだ1歳です。貴女ならまだしも、この子達に何かあったら……。」
ローズマリーは悟ってしまった。
この人達は、自分たちが動いたことによって復讐されることを考え怯えてると…。
そして、義母からすれば血の繋がりのない私はどうでもいいのだと。
仕方がないのかもしれないけれど……。
「お義母様、先程の発言は私には何かあってもどうでもいい、ということですわね?」
「え…」
レイチェルは気が付いていない。
先程の発言でおかしな部分があったのかしら?としか思っていない。
「分かりましたわ。」
「わかってくれたか!」
アドルフは笑顔になった瞬間、ローズマリーは無表情になった。
「えぇ。もう、貴方達には何も期待はしません。私自ら陛下に謁見しに行きます。」
そう言うと、ローズマリーは叩きつけた書類を回収した。
「待ちなさい!」
「貴方に命令される筋合いはありませんわ、クロフォード公爵。そして公爵夫人。」
ローズマリーの表情はとても冷たく、アドルフとレイチェルは思わず息を呑みこんだ。
「貴方達二人は、私の両親だと思いたくありませんわ。公爵として貴族として親としても失望致しましたわ。」
ローズマリーは二人に背を向けて歩き出した。
二人は黙ったまま立ちつくしていた。




