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気分を害さるかもしれません。
資料を見つつもルイが戻ってくるのを待っていたら、陽が傾いてきた。もう帰らなければと、ルイの部屋を出るとブルース侯爵家の執事が立っていた。
「どうかしたの?」
「ローズマリー様、お帰りになる前にこちらへ…。旦那様は今出かけております。今から案内したい場所がございます。できるだけ音を出さないようお願い致します。」
執事に案内されたのは、1つの部屋の前。扉を開けるとまた更に扉があったが、その扉には小窓が付いていて中の様子が見れる。
今まで何度も来ているブルース侯爵家に、こんな部屋があったとは知らなかった。
執事はローズマリーに中の様子を見るように促された。
「…何、これは?!」
思わず叫びそうになったが、何とか堪えた。
ローズマリーの視界には、数人の子どもたちがベッドの足に鎖で繋がれていた。
見えるところは怪我は無さそうだが……。
子どもたちは怯えていて、衰弱しているようにも見える。
その中にルイがいて、子どもたちを監視するように見ていたが、口が動いていたので何か言葉を発してはいるが、防音されているのか、よく聞こえない。
ただ、子どもたちはルイの方を見てひどく怯えているのは分かる。
「どういうことなの?」
「部屋を改装し、半年程前から孤児院で貴族が気に入りそうな子どもを預かり、この部屋で買い手好みに教育しているのです。ルイ様はその教育係になります。」
「…買い手って、禁止されている人身売買よね?」
執事は黙って頷いた。
そう、この国では人身売買が禁止されている。
人身売買が発覚したら、売手も買手も重い罰則が待ち受けている。
「貴族といっても、この国の貴族ではなく他国の貴族に売り、売上の一部を協力している孤児院にの院長に渡しています。」
「ルイは何の疑問を持たず、子どもたちを監視しているの?最近、様子がおかしいとは思っていたけど…。」
「最初は、ルイ様も我々使用人もおかしいと申しておりましたが、旦那さまからの暴力や家族を盾に脅され、従わざるおえなくなりました。ルイ様も意見を申しておりましたが、最初の子どもが高値で売れ旦那様から褒められると、意見を申すこともなくなり、黙って従うようになりました。」
執事の瞳には涙が溜まっていた。
「旦那様は、変わられてしまいました。鉱山の件も、鉱物が採れて売値の一部を場所代として徴収していたのですが…こちらが書類となります。」
ローズマリーは執事から書類を渡され受け取った。
「旦那様は私がローズマリー様をここに案内するなど話をするなど夢にも思ってないでしょう。私はどうなっても構いませんから、ローズマリー様…」
執事の言わんとすることはローズマリーにも解っていた。
「私が何とかするわ。鉱山の件子どもたちの件も何とかするわ。」
執事は涙を溢しながらローズマリーに頭を下げた。
ローズマリーは、複雑な気持ちを抱えながら静かに部屋を出た。




