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「久しぶりだな。陛下に殿下の婚約者にとお願いされた以来だな。」 


ローズマリーの父親であるアドルフ。

アドルフはローズマリーに優しく微笑んだ。


「そうですわね、クロフォード公爵。」


ローズマリーは視線も合わせず答える。


「ローズマリーさん、元気にしてた?」


アドルフの隣にいる公爵夫人・レイチェルが問いかけても、ローズマリーは何も話さなかった。


「ローズマリー、母であるレイチェルに返事をしないか!」


アドルフは飲んでいたお茶のカップを音を立てながら置いた。


「確かに父親である公爵と結婚したのだから母親ではあるけれど、血の繋がりはないでしょ?ね、公爵夫人?」


レイチェルはビクリと肩を震わせた。


「私の母親はもう亡くなっていますから。ただ、母親違いの双子の弟妹は気掛りですわ。」


ローズマリーは持っていた扇子を開いて扇ぎだした。

早く終わらせたいのがひしひしと伝わってくる。


「カトレア様が亡くなったのは病気で…」


レイチェルは消え入りそうな声で話をしたが、


「そんなことは分かっていますわ。7年前、あなた方二人は、公爵・公爵夫人として…そして父親・母親としての信頼を一切無くしたことをご自覚下さい。」


ローズマリーの紅い瞳が瞬時に冷たくなった。


「再婚が悪いとかではありません。むしろ、歓迎してましたわ。私が公爵夫人をお義母様と呼んでいたのをお忘れですか?私は見事に貴方方に裏切られましたわ。」


ローズマリーは扇いでいた扇子をパチンと閉じた。


「お帰りください。私が公爵邸に行くときは、年の離れた双子の弟と妹に会うときだけです。」


それだけを二人に告げるとローズマリーは立ち上がり応接室から出ようとした。


「ローズマリー!」


アドルフが立ち上がりローズマリーを呼び止めた。


「何でしょう?」


アドルフは一瞬顔を背けたが、ローズマリーを見つめ直した。


「あの時は、済まなかった…。」


「今更、謝るのですか?もう、遅いですわよ。7年経った今謝る意味がわかりません。」


ローズマリーはそのまま二人に背を向けて扉にいるセバスチャンに、お客様のお帰りですと告げて応接室をあとにした。







「何をしてるんですか、レオナルド様。」


応接室の扉の近くにレオナルドが申し訳なさそうに立っていた。



「いや、その…。」


バツが悪そうな顔のレオナルドに、ローズマリーはただただ呆れた。


「どうせ聞いていたのでしょう?詳しく話しますから、執務室に戻りますよ。」


ローズマリーは半ば呆れた状態で隣にいるレオナルドを見つめていた。


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