第5話:地獄?幸福?就寝時刻をむかえました。
――夕食の平和な時間が過ぎ今日も終わりをむかえようとしていた。
幹の中の家は、ワンフロアに多くのスペースを取れないので、地下に倉庫、アトリエ、トイレと風呂。
縦に吹き抜けた玄関ホールを少し上がってオープンカウンターのキッチン、温かみのあるリビング、寝室がそれぞれスキップフロアで開放的に連なっている。
こっちの世界に来て最初の数日、俺はリビングにギザギザの切れ込みの入ったトネリコの葉に、白い布を掛けたのところに寝かされていたが、アレは特別で俺が酷い火傷を負って気絶していたからだった。
トネリコの葉は神聖な物で特別な場合のみに許される。
その為、普段は元の世界と同じようにベッドで寝ている……のだが……
昼間外に出て修行する時などは、襟ぐりの開いた白いシャツに、綿布のようなザックリした感じで少しベージュの入った白いクロークを
ゆったり着ている事が多いレティシア師匠。
それはあくまで外出着なので寝る際にまで着る事はない。
就寝時となると、優雅でありながら細い肩紐でGカップやHカップぐらいありそうな豊満な胸元部分が大きく開き、キャミソールワンピースで腰のクビレを強調させ、シースルーで透け感のあるネグリジェが何ともエロい……
ただでさえにエルフの整った美しい姿にセクシー差がプラスされ、尚且つ夕食後に決まって風呂に入るレティシア師匠からは、フワッと清潔感のある甘いいい香りがほのかにして、フェロモン全開で思わず心奪われそうになる。
そんなレティシア師匠がだ、この家には寝室が一つ、キングサイズのベッドも一つ、最初は遠慮したのだが……
「「師匠と弟子は寝食を共にするもの」と聞いた事がある。お主はわっちの弟子なのじゃから一緒に寝るのじゃ! これは決定事項なのじゃ♪」
なんて我がままを……
むこうの世界でしばらく独り身だった俺にはなかなかの誘惑。
しかもだ、レティシア師匠は寝相が悪かった。
うん、寝ている間にとてもよく転がる。
ピンクがかったシルバー色の長い髪が寝返りする度に香りを振りまき、背中や腕にふわふわして柔らかい感触が当ったりもする。
当るぐらいなら可愛いもので、ギュッと抱き枕状態にされる事さえ……
決しておっぱいが当って気持ち良いとか、弟子で役得なんて思ってないから!
これではタダのエロオヤジになってしまう……
俺は傷が癒えてからここ数日と言うもの、心を落ち着かせ平常心を保つ事に必死だ。
追い出されたらまだ世界樹の麓以外に行く当てもなく、ドラゴンなど危険な魔物に遭遇したら自分だけでは対処する事はできないだろう。
ちなみに、世界樹の上層には聖なる白竜が神の傍らに控えているらしい。
一つ確かなのは、こちらからレティシア師匠に何かしなければ、朝起きて抱き着かれていようと、何も文句は言われない事は確認済みなので、されるがまま身を任せるのが正解なのだろう。
俺は元の世界とほぼ同じ外見でこちらに来たので、175cmで76kgの適度に筋肉の付いた体型で黒めの茶髪に髭の32歳なのだが、はたしてどう思われてるのかと考えつつも夢の中に落ちて行った。