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第4話:夕食にニジマスのコンフィを作ってみました。

――師匠のレティシアさんは話しているうちに光のエルフだと解った。

 そして、他の光のエルフは世界樹(ユグドラシル)の上層の方に居るらしく、師匠は上層に飽きて麓のウルズの泉の(ほとり)に下りてきて、世界樹(ユグドラシル)の根の隙間から樹液が抜けて出来た幹の樹洞を利用して秘密基地のような工房兼家にしたそうだ。


 アールヴヘイムはフレイとフレイヤと言う双子の神兄妹によって治められており双子は豊穣と平和の神なのだが、この地では自生していた木々や草花が強く、小麦など外来の穀物の栽培には適していなかった。

その為、ミズドガルドと沿岸都市アクアロンデでの貿易は盛んなのだそうだ。


◇◆◇◆


 約50cm程のニジマスが十二匹。今夜の夕飯は何にするか……

俺は一人暮らしがそれなりに長かったり、結婚してた時も作っていたので料理はある程度できる。


 と言う事で悩みつつ今夜は、ニジマスのコンフィ(オイル煮)にすることにした。


 まずは、手のひらに少し多めの塩を持ちニジマスを軽く挟み込んで、優しく擦り合わせてから水で流しぬめりを取る。

 包丁の刃を魚に対し垂直に立て、尾から頭にむかってスライドさせ鱗を取り、肛門から包丁を入れ喉元まで割くように切ってから、エラごと引きちぎるように内臓を取り出し均一に下味が付くようにブライニング液と言う冷水、塩、砂糖を合わせた物に漬け込む。

 漬け込んでいたニジマスを取り出した水気を取ったら魚のタンパク質は20度から変成がはじまり、45度を超すと少しずつ硬くなりはじめるので、まだ魔法修行中の俺にとっては火加減が実に繊細で難しいが、火の精霊に頑張ってもらって湯煎し40度から45度をキープするくらいの低温で、黒オリーブ、ローズマリーと共にオリーブオイルで三時間程優しく煮込む。


 食べる時にサッ軽く焼き香ばしさをプラスすれば出来上がり。

ジックリと火が通っているので頭や骨も丸ごと食べれるはず……


「もう待ちくたびれたのじゃぁ、待ち過ぎのお腹が空き過ぎで死んじゃうのじゃ……でも今日もとても良い匂いなのじゃ」


 気が付けば四時間程掛かっていた


「たいへんお待たせしました。夕食にしましょう」

「たしか下に白ワインが残ってたはずなのじゃ!」

「了解です取ってきますね」


 元気なくしゅんとしていたレティシア師匠が、俺が下からワインを持って戻ると、パッと晴れた顔でナイフとフォークを持ち目をキラキラさせていた。


「食べるのじゃっ、食べるのじゃっ」

「生ける物の生命が心と体を支える糧となり、食事の恵みに感謝して頂きます」


 食前の挨拶をして待ちに待った食事タイムだ。


「これは何と言うのじゃ?」

「今夜はオイルで煮る料理でニジマスのコンフィです」

「これはパサッとした感じが無くて、ニジマスの旨味を感じながらしっとり滑らかな食感で美味しいのじゃ」

「上手くできてよかったです。ワインとも合って美味しいですね。そう言えば、地下のワインなどが大分無くなっていました」

「お主の料理が美味しいから飲み過ぎてしまっておるのじゃ……そろそろアクアロンデに買い出しに行くかのぉ」


「俺はまだ沿岸都市に行った事がないので、それは実に楽しみです」

「では近い日に買い出しに行くのじゃ、それで、また色々美味しい物が食べれるのじゃ♪」


 こうして平和な夕食の時間は過ぎて行ったのだった。

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