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第16話:牧場を作って子供達を養護しました。

――世界樹(ユグドラシル)周辺の森を抜け、

 タラクサカム・テリコミスで沿岸都市アクアロンデ方面に一時間程走ったあたり。


 アールヴヘイムの地は双子の豊穣の神の力で、外来の小麦など穀物の栽培には適していないが、元々自生していた牧草は豊穣の恩恵で食べられても次々に育ち、牛と鶏を飼育する酪農及び畜産に適していた。


 元はシャルさんから譲ってもらいオリーブを食べていた牛と鶏だが、ここにはオリーブの木が無いので瑞々しい草やハーブ類で我慢してもらう。


 木の柱と屋根、内部に風除けの壁のある広い牛舎と鶏舎、雌牛が四十頭、雄牛が十二頭、雌鶏が二十三羽、雄鶏が八羽、放牧されている。

乳牛は一頭につき一日約二十リットルの乳を出し、一時間で一人十頭程搾乳できるが卵集めとともに大変だ。


 シャルさんが手配してくれた猫耳種フェリセラの酪農指導役二人と、子供達が十二人が頑張ってくれている。


 ここに来た子供達はリリーナよりも小さいフェリセラで、アクアロンデ周辺に居た身寄りを無くした者達なのだが、今まではシャルさんが保護して信用できる人物に斡旋していた。


 シャルさんに出会って少ししてから活動してる事を知り、俺にも何か出来ないかと考えていた時、クリームやバターなどが作れた事で牧場を作る決心した。


 それに伴って牧場と子供達についてシャルさんに相談し、出来上がったのが質素だけど牧場と寮だ。

もちろん朝昼晩の三食付きで、しっかり働けば俺がたまに差し入れているプリンなどのお菓子まで食べれる。

 はじめてプリンを差し入れた時には、それはもう大騒ぎで凄い事になった。


◇◆◇◆


――沿岸都市アクアロンデ、裏路地にある商店


「シャルさん、今回の手配などありがとうございました。」

「何言ってるのお礼を言うのは、わたしの方よ。

身寄りを無くした子供達の受け皿を探してた時に本当に助かったのよ」


 俺はお礼と今後の事について話す為にシャルフェルさんの下を訪れている。

レイヤードマキシスカートのサイドスリットから覗く脚が色っぽい……


「リリーナも子供達のお姉さんと言った感じで懐かれてますね」

「同じフェリセラだからよ、それよりも家を出てレティを師事して三年であんなに変わるなんて嬉しいわ」

「リリーナが何事にも投げ出さないで真剣に取り組んだ結果ですよ」

 シャルさんは顔に出さないようにしているのだろうが、少し口角が上がり微笑みがこぼれている。


「さて、牧場の件なのですが、今は沢山集まった生乳全てを俺とリリーナだけでは加工しきれてないのが現状です。」

「そうね、子供達が頑張ってるから搾乳や卵集め世話は順調だけど」


「そこで加工場を牧場内に作って、加工も子供たちに頑張ってもらおうかと思っているのですが」

「聞いた感じだと加工には魔法が必要なのよね?

遊びで魔法が少しできる程度の子は居たと思うけど、要望の魔法が使える者となるとなかなか難しいんじゃないかしら」


「ある程度素質が見込めるなら、魔法の教育は俺達でしていこうと思っています」

「素質がある子は加工、難しい子は牛達の世話をさせる感じかしら?」

「それが良いと思ったのですが」


「分かったわ。」

「加工場の構想はまとめて後日書面にして渡しますので、その後もう一度話しましょう」

「楽しくなってきたわね」

 そう言うとシャルさんは俺の耳元に顔を近づけ


「三年経ったけど約束を覚えていてくれて嬉しかったわ」

 ひと言囁いた。


「忘れるわけないじゃないですか」

 同じようにシャルさんの耳元で優しく囁いた。


はじめて師匠とアクアロンデに訪れて三年か……早いな……


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