第11話:ちょっと卑猥な朝を迎えました。
――昨夜は招宴にあずかり
レティシア師匠、シャルフェル、リリーナとかなり飲んで騒いで、気が付いたらみんな眠りに落ちていた。
「先生待ってぇ…………ムニャムニャ」
「うう……頭が痛い……のじゃ……のじゃ……」
少し離れたソファ、リリーナはレティシア師匠の胸に顔を埋めながら抱き着き夢の中、師匠は二日酔いで頭痛に襲われているようだ。
いつもは俺が師匠に抱き着かれているのに逆の光景は珍しい
俺はと言うと、記憶が薄くなぜかシャルさんに抱き着かれていて、猫耳が俺の鼻をくすぐるので起きた。
似た物親子と言う感じだな。
体をモゾモゾさせて離れようとしてみたが、シャルさんの絞めからはなかなか抜け出せない。
小さいのに力あるな……
そこで、猫耳に優しく息を吹きかけると、シャルさんは身震いさせながら吐息を漏らした。
「ウ、ウゥ~ン、そこはダメなの……」
絞めつけいていた手は緩んだが、なぜか背中を指先が優しい手つきで登っていき、一瞬背中から離れたと思ったら頬を撫でながら首筋からうなじを辿り、後頭部を包んで自分の胸に引き寄せた。
俺は師匠の胸とは違った柔かいのにハリのある胸に顔を挟まれ、自分の鼓動が高鳴って行くのが分かる……
「フゴフゴ……シャルさん二人が横にいるのに何してるんですか……」
俺は動揺しながらも胸の谷間から少し脱出。
「だって、あなたがわたしの弱い耳に攻撃してくるからつい……」
「ついじゃないですよ」
「意地悪ぅ」
シャルさんトロンッとした目で俺を見て甘えてくる。
「そんな事されてると俺の中から獣が出てきちゃいますよ」
「あら、それは興味があるわっ」
少し下に下がり顔が近づいたと思ったら、耳に軽く口づけしてから甘噛みされてしまった。
「そろそろ起きましょうか」
「シャルさんも人が悪いな」
お互いにクスッと微笑み、若い頃の俺ならガツガツとしていたかもしれないが、俺もシャルさんも歳が近いようで、少し落ち着いた朝のじゃれ合いを楽しんだ。
◇◆◇◆
――時は中天に差し掛かろうとしていた。
俺が外で待っていた二匹のタラクサカム・テリコミスに水と餌を与える。
「キュルゥゥゥ♪」
とても嬉しそうな表情で喉を鳴らし
「「ねぇねぇ~撫でてよぉ」」
と言うかのように顔をスリスリしてきた。
俺はそれに応えて撫で撫でしてやる。
撫でてやると二匹は目を細めてリラックスしきったようにゴロゴロしはじめた。
……実に可愛い和みのひと時だ。
そうこうしていると、師匠とリリーナも起きたようで、昨日待ったが掛かっていたリリーナを師匠が預かるかについて結論が言い渡されリリーナにはいくつか条件が出された。
その一つは、世界樹の麓に戻りしだい七つの鉱石での精霊適正の確認だ。
師匠が昨夜話を聞いた限りではリリーナには闇の適正があるようだが、実際に確認したわけではないので確認し、全てに適性が無かった場合には街に戻される事になった。