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町が宵闇に隠れる頃
そう夜になるとその顔を現す―
城下町には日暮れがやってきた、町中の提灯に明かりが灯る。
団子屋の客もまばらとなりほとんどの客が家路についていた。
団子屋の店主「おーい、乙や。もうすぐ店を閉めるぞ!」
少女「はーい、おやっさん!」
もうすぐ夜が訪れる。
町中の店が閉まり、今人々が集まり輝いているのは城の近くにある歓楽街ばかりであった。
この時刻はあやかしの時刻と呼ばれ、あやかしが活発になり始める時刻である。
この町ではあやかしと人は共存している、しかしながらあやかしは基本的には闇夜に身をひそめ、人間達との共存を望まないものも多くいた。
町を治める殿はあやかしと人が共存して生きられるような治世にしたいという思想の持ち主であった。
あやかしと人との間には亀裂が多く、人とあやかしは混じり合わないなどとささやかれているが、殿の御心がとどけばあやかしと人間が共存できる世界が生まれるのかもしれない・・・
夜、店の者が皆眠りについた頃、少女は天井板から屋根の上に立ち夜風に髪をなびかせていた。