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1‐1

 吉川彩音よしかわあやねは、以前テレビのアイドルで活躍していたと聞いた。だけど僕は活躍している時なんて知る由もなくて、そういったプライベートの顔は写真でしか知る由もなかった。

 実際のところ、彼女が活躍していた時期なんて、まだ僕は生まれてもなかった。ゆえに知らない。なんせ引退したと同時に僕が生まれたもんな。

だけど、今もアイドルになった時の美貌は健在で、パッと見ても18歳にしか見えない。もしかすると大和撫子を印象付けるようなストレートの黒髪が若く見えさせてるのかもしれない。

 ゆえにいつも着ている私服がセーラー服、女子高校生の制服だから尚更だ。


「本当にこれって彩音さんかよ」


 都内にあるビルの5階、桜が咲き、花びらが舞っているのがよく見える事務所、窓越しでその景色を堪能しながら高級そうな椅子に座っている彩音さんに言った。


「そうよ。もう黒歴史だけどね」

 そう言いながら、外の窓ガラスを開けた。じっとその一点を見つめながら、手に持っていたボールペンをカチカチと鳴らすと同時に近くの公園に投げ込んだ。直後ぐらいに見知らぬ男の声が聞こえてきた。


「また何かやったんですか?」

 僕はため息を吐いて、自分の頭を右手で押さえながら、彼女に聞いた。


「はぁー。香川君、またやってしまったわ。女の子が全身黒服の怪しい男に襲われていたから気絶させてやったわ。手が勝手にね」


 彩音さんは僕に向かってウインクをした。心なしかドキッと感じつつも、ため息しか出ない。

「またですか?またお得意の正義感を出したのですか?」

 僕は、窓越しから公園を見た。確かに全身黒服の男がピクピクと気絶しているのが見えた。だけど、彩音さんが言っていた女の子の姿はなかった。


 彩音さんは自慢の黒髪をかき上げて、頭をぽりぽりとかいた。

「ほっとけないんだから仕方ないでしょ、さ、さっさと現場検証、次に警察に連絡、その前にボールペンを回収してきなさい」


 椅子から立ち上がり、僕の背中を一回叩いた。


「ごふぅ、い、痛い、うぅぐ、う、わ、分かりましたよ。行けばいいんでしょう」


 僕は雇い主である彩音さんのわがままに今日も付き合いながら、さっきまで開いていた窓を閉めた。ため息しか出ない。もう少しで殺されかけたことには目をつぶり、僕の机に置いてあったペットボトルの水を飲んだ。

「それじゃ行ってきます。あ、遅くなりそうだったら、冷蔵庫の中にあるご飯、先に食べていてくれてもいいですからね。それから電話が鳴っても出ないでくださいね」


「はいはい」

 にこりと彩音さんは僕に笑みを見せた。あと親指を立てて、

「グットラック」

 そういつも通り、その言葉を言い、再び、自分の高級な椅子に戻った後に、窓ガラスの方向を向いた。


 はぁ。今回も事件に巻き込まれそうだと僕の第六感が言っている気がする。

 僕は事務所を後にして、階段を下りた。そして男が倒れている公園へと足を運んだ。

今回もご観覧ありがとうございます。

最近、個人的ですが「!!」をつけることを禁止しました。ルールです。

だけど、ルールは破るものと、よく聞くのだけれども、このルールは表現者として破りたくないと思っています。オチとしましては驚きの表現ぐらい、描写で書けないとどうする、といった意見からです。

うーん。オチてない気もするけれど、今回はこの辺で。次回もよろしくお願いします^^

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