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双子は意外と私の事を隠そうとしないでジルに言っている。
例えば私を母と認識している1歳、幽体離脱をして初めて話しかけた時も子供であるからか柔軟な頭でテキトーに理解した。その時も夫には見えないと知っていながらもジルの前で私の話に相槌をうったり笑ったりしていた。
双子でいつも一緒にいたらから不思議な遊びをしていると思われているようだ。
あとは、夫が双子に私が意識不明で寝たきりを言いにくそうに言い出した時も「おかーさまはいつもいるよ?」や「おかあさまいつも僕達をみてるー」など結構言っていた。
まぁ、旦那は違う意味で捉えたらしく感動で泣いていたが。
とにかく隠そうとしていないので結構不思議な子供だと思われている。
だが、そんな私を愛している夫にも限界が来ているらしい。
最近では子供がいない時に病んだ言葉を吐き続けている。
私が聞いた限り
「僕も君の見ている夢の中に行きたい」から始まり、「いっそのこと起きるか分からない君を刺して僕も……いや、子供達がいるし……あぁ、こんなに愛してる君を刺すなんて………」
とか、ぶつぶつ言っている。
しかも、思い詰めた顔で私の寝ている部屋へ来て泣きながら縋ってるのとか見ると幽体離脱して戻れないのが申し訳なくなる。
取り敢えず、近くにいる事を知らせたいが4年間時々、本当に時々試していたが未だに解決法から見つからない。
双子に伝えるように言ったが、一種の不思議発言と捉えられたしどうしようか悩んでるところだ。
そう、悩んでるとき王宮魔術師が来た。
私の夫も魔法の名手なので時々来るのだがその時王宮魔術師の持っていた魔石につい触ってしまった。
すると手に少し力が戻った気がしたのでそこら辺の石を触るとなんと持つことが出来た。
そうと分かれば善は急げとその日の夜私は旦那の魔力を寝てる間にそこそこ奪い手に長時間ものを持てるようにした。
そうして、手紙を書くことを成功させたのだ。
「おとーさまぁ!お手紙ぃー!」
「おとーさま、喜ぶお手紙ぃー!」
書いて魔力が力尽きた私は双子に手紙をたくした。
「ラズとリズが書いてくれたのかい?ありがとう。後で読ませてもらうよ。」
仕事が忙しいのだろうか、私がせっかく書いたのを後回しにするなんて!
「ほんとーにあとででいーのぉー?」
「せっかく書いたのにっておこってるよー?」
私の文句を聞いた双子ちゃんは旦那をせかしてくれた。
それに不思議そうにしながらも手紙を開き、字を見てジルは固まった。
「……こ、これ、何処で?ミリアの字!」
双子を驚愕の目で見ていたが読めと双子が促すとびっくりしながらも読んで泣いていた。
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愛するジルへ
毎日が退屈な私です。
只今幽体離脱を体験しております。
日々の貴方を見ているとこっちが心配になるくらい憔悴しています。双子の事を考えてくれるのは良いのですが仕事ばかりでは無く構ってあげて下さい。私はいつも近くで幽体離脱して双子の面倒を見ています。
さて、今回4年の月日を得てこうして手紙を書いたのはいろいろ考察した結果、4年で私の刺された身体本体の魔力が安定し、幽体離脱の私が魔力を得ると本体と共鳴し物を動かせることが判明しました。あ、双子ちゃんは関係なく撫でられました。
その事が分かったので今回書きました。
私が意識不明だからと病んでる考えはやめてくださいませ。
私はまだ死んでいませんよ!まったく。
それではそろそろ魔力も切れるのでここら辺で手紙を締めくくりたいと思います。聞きたいことは双子を通して時々返答します。面倒くさいときはサボりますのでご注意を。
ps.ペルの実を沢山食べたいです。
愛しい貴方のロミリアより
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泣きながらこの手紙の内容を理解しようと5回くらい読んだところでジルは双子に確認を取った。
「おかぁさま、前からいるっていってたぁー!」
「僕達ずっとおとぉさまに伝えてたのにぃ!」
頬を不満そうに膨らませながら抗議する。
確かに言ってたわね。今回はジルが悪いわ。
「ミリア!必ず戻す方法探すから!そのまま消えないでくれ!幽体離脱したままでもいいから僕の近くにいてくれ!」
見えてないからかテキトーな空中に叫んでる姿はマヌっ………シュールである。思わず笑ってしまったわ。
「おかぁさまが、私からいなくなることは無いってー」
「それより双子の面倒と、いい加減義妹をどうにかしたいってー」
「あの女狐来ないでほしいな」
「こーすい臭いよね。あと、あつげしょうー」
結構言いたい放題言っている双子達だが、私からのメッセージに感動しているジルは後半は聞いてなかったらしくスーリアをどうするか考えはじめていた。
ご指摘頂きましたので直しました。
講義→抗議




