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今日も悲しみに暮れながら仕事する夫を見つつ双子の世話をする。
(もぅ!おもちゃの取り合いは駄目よ!いい?譲り合いの精神よ!譲り合って謙虚に見せなさい!そしたら大体は騙せるわよ!!)
「はーい、おかーさま!ゆずりあい?だね!」
「けんきょだね!でもけんきょってなぁに?」
意味も分かってないが私に対して良い返事をする双子ちゃんの頭を撫で(何故か双子だけは触れるのだ)譲り合いや謙虚の大切さを教える。
(いいこと?譲り合いと言うのは相手に対し自分が下手に出て譲ってあげるの、譲ったら相手は少なからず恩義を感じるわ。そしたら困った時に助けてくれるのよ!謙虚は控えめにしていることよ。普段控えめにするとここぞという時目立つわ!意外と使えるから覚えておくと便利よ!)
多分良く分かってないであろう双子は尚も良いお返事をし、今度は仲良くお絵かきを始めた。
それから数分もしない内に今度は玄関口が騒がしくなる。
また義妹のスーリアが来たのだろう。
度々訪れる彼女は未だに人の旦那に擦り寄っているようだ。
「また来たよ。あの女狐。」
「また来たね。あの女狐。」
私が義妹の事を女狐と罵ったのを見ていたらしい双子はその意味を聞いてきて理解したらしくよく言葉を使う。
普段は子供っぽい口調のくせに変なところでちゃんと発音するのだから恐ろしい子だ。
双子は騒がしい方へこっそり向かっていく。
大体スーリアが来たときはこっそり覗いて私がOKを出したら教えたセリフを使って父を助け出す。
段々と旦那より気が回るようになっている気がするが気にしない。
「ジルベルト様!お姉様はもう目を覚ましませんわ!いい加減諦めたらいかがですの?まだ双子も小さいと言うのに母の愛情がないなんてあんまりですわ!それに対して、私が母になれば妹でした私ですもの。双子の母親も立派にこなせますわ!」
スーリアは継母が連れてきた子だ。まだ、意識不明の4年を抜いても3年の付き合いしかないのに私の何を知ってるんだ?
しかも、彼女も彼女の母親も金使いが荒い。
双子まで気を回さず自分で使い出すだろう。
「何度も言っているだろう?私はミリアを愛している。そんな私の愛を起きた時に感じられなかったらミリアが悲しむだろう。双子だってミリアが起きるのを楽しみにしてるんだ。そんな所にスーリアを置けるわけ無いだろう。」
「いいえ!4年も起きないのだから。もう無理ですわ。ねぇ、私あなたの悲しむ姿をこれ以上見たくないの。私のお母様もあなたと私の結婚を楽しみにしてるのよ?ねぇーーー」
これ以上は堂々巡りで面倒くさいので双子にセリフと入ったときの素振りを教え、突撃させる。
「「おとぉさまぁ!!」」
見てほしいものがあるとスーリアを無視してジルを引っ張る。
ジルも小さな双子を私の代わりに育てようと奮闘しているらしいので無下にすることもできずにいる。
「ちょっとお待ちになって双子ちゃんたち?貴方達もお母様がほしいわよね?愛情がほしいわよね?」
子供に言い聞かせるような猫なで声がスーリアから出るが、双子の反応は首を横に降る動作で返された。
「んーん、いらなぁーい。おかぁさまは一人だもーん。」
「毎日おもしろいこと教えてくれるもーん。」
「「愛情はおなかいっぱーい‼」」
キャラキャラ笑いながらそう言う双子にママ感動!何て思ってると不気味なものでも見るかのように双子を見てジルにひっつく。
「この双子の母親は意識不明のはずなのに何故このような事を双子は言うんですの!まるで悪魔に取り憑かれてるようですわ!私怖いっ!」
夫にひっつくがすぐ離される。
ジルは自分の気を許してる相手以外触られるのが嫌なタイプだ。普段物腰が柔らかい分意外な一面である。
それに、私の子供である双子を大好きなジルは双子を貶されることをひどく嫌う。今回もそんなスーリアをイライラしながら言いくるめ私の父の公爵家へと返していた。
その時の双子はと言うとコソコソと
「あれ演技だよね。」
「あれ演技だね。」
「下手くそだね。」
「僕達のほうが上手だね。」
と、話していたので私は双子の頭を撫でておいた。
8月9日、日間17位に入りました。ありがといございます!
ご指摘頂きましたので直しました。
不下→無下
これ書いた私も読めませんでした(笑)




