七、教えて
遅れてすいません。
これからいっぱい頑張ります。
俺とアリアは顔を見合わせる。
『どっち…って?』
『これは仮説なんだけど、彼女は魔獣に吸収されたよね。そのときに、魔獣と人の精神が混ざって、一つの人格に二つの記憶が共存してしまったのかもしれない。その場合、いずれ人格が崩壊してしまうかもね』
『そうか。ありがとう、リア』
彼女は転生した。死んだすぐあとに、ではあるが、別の存在として生まれ変わっていることに間違いはない。
それよりも、心配なのは。
「私は誰?違う、誰じゃない…分かってる…分かってない。分からない。分かんない。おかしい。私は私は私は、私は」
「大丈夫か?」
「っ!?」
こちらに気付いて、目を見開いている。やはり混乱してるよな。俺達に気付かないくらいに。
「落ち着け。お前は死ぬ前までの記憶があるか?」
「死ぬ前…?そう、そう!私は死んでしまったはず!!なんで生きてる…の…?」
「記憶はあるみたいだな」
「…あ、あなたは?なにを知っているんですか?教えて!!」
「さぁな。俺はレージだ。お前は転生したんだ。転生って分かるか?」
「…はい。聞き覚えはあるます」
「なら大丈夫だ。次に、七つの大罪と悪魔について知ってるか?」
「それも知っています。お母様…??のお話に出てきてたから」
「そうか」
それから、俺は彼女に転生の説明をした。やはり、そこまで珍しい事じゃないみたいだ。
口調が敬語なのが少し気になる。転生してからアリアとしか話してないから、違和感があるだけかもしれない。
「なぁ、名前は?」
「あ、まだ言っていませんでした。ベルナです」
「俺はレージだ」
「ボクはアリア。レージ、ボクがいるの忘れていないかい?」
「忘れて…はいなかったぞ。大丈夫だ。……お前の事、忘れるわけないだろ…!!」
「最後のセリフがキモいよ」
「うおぉ!!傷つく!異世界の言葉使うんじゃねぇ!」
「中がいいんですねおふたりさん。そういう関係?」
「「違う(よ)!!」」
あ、はもった。
「リアと話すと緩むんだよ。今大事なところ」
「はーい、はい。キミの殺し方でも考えていればいいんだね?」
「やめて、本気で死ぬ。謝りますから許してください」
「えっ、アリアさん怖い」
大事な事を話そうと思ったのに、アリアは何でこう軽いかなぁ…。
「それで、ベルナ一つ聞いてもいいか」
話題を元に戻していく。
「言うのは嫌かもしれないが、なんで死んだのか、教えてくれるか?」
なんで死んでしまったのか。いろいろ気になることがある。
例えば、なんでこんな森の中にいるのか。
ゼドアが言っていたが、こんな所に人がいるのはおかしい。
魔獣に乗っ取られるという状況も不可解だ。
それに、仲間にするなら、そういうことは知っておくべきだ。
「…分かりました。ちょっと泣いちゃうかも知れませんよ?」
「…悪い」
彼女は少し目を瞑り、空を見上げ、息を吸いこみ、
「…それでは、話しましょう。私の、前世のお話を」
そうして彼女は話し出したのだった。
人間の醜い醜いお話を。
短いですよねすいません。
次を急いで投稿します。