表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怠惰と六人の仲間は今日を歩く  作者: 灰色の蛇
第二章 寂しさは
13/35

一、一週間

二章スタートします。

一章に加筆修正をしましたので、(現在もしていますが)時々覗いてください。

矛盾とか多くて悲しくなりました。

 雨の音がする。さっきまで見ていた夢は、何だったのだろう。

 目が覚める。

 ふかふかのベットで起きる。身体を起こし、指から腕、足からお腹までの筋肉を動かす。

 これは、俺の日課だ。


「おっ、やっと起きたようだね」


 《強欲》、アリア・アクィナスの声。

 あれから一週間ほどたった。


「おはよ。もう一回寝ていいか?」

「だめ」


 こんなやり取りも日常的になった。


 一週間。何があったのか思い出してみようか。


 〜〜〜〜〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~


 アリアの涙の後、まずは住むところが欲しいという話になった。


「それについては、心配は要らない。実は、この森に転生してから半年が過ぎているんだ。当然、拠点ぐらいは作るさ。ついてきて。」


 アリアの後を付いて行く。

 すると、なんと家があるではないか。


「…は?」


「すごいだろう!魔法の力さ。」


 魔法の力、ということはアリアが作り出したということだ。

 レージの理解が全く追いつかない。


「ごめん、やってみして。ちょっと頭がついていかない」


「あ、そっか君は魔法を知らないんだったね」


 とか言いつつ、地面に触れる。同時に、手頃な石に魔力が注ぎ込まれていく。《感知》のおかげで魔力の動きがわかるのだ。本当に便利なスキルである。


 そして、土が動き出し、人形になる。


「これがゴーレム。錬金術によって生み出されるんだ。これに命令を下し、建築をさせているのさ。

 ついでだし、魔法と、スキル、この世界について、色々教えるよ」


 そして、アリアの講釈が始まりました。


 …凄く楽しそうだ。

 アリアはどうやら人に知識を与えるのが好きらしい。

 俺は考えたり実験したりするほうが好きだけどな。


 要約しよう。


 魔法とは、魔法スキルによって得られる現象で、魔力を必要とする。


 スキルには、先天的に持っているものと、鍛錬や一定条件をクリアすることによって手に入るものがある。


 例えば、全属性魔法を使えるようになりたいならば、何度も魔力を生成し、属性を持たせるイメージを作りづつける。すると、ただの魔力が色に染まっていくらしい。それを魔法として放つことが出来れば、その瞬間スキルを獲得できる。それを六属性続ける。


 六属性の魔法スキルを手に入れる、という条件をクリアすれば、スキルが合わさり、《全属性魔法》が生まれる、というわけだ。


 先天的なスキル、で身近なものは、《怠惰》や《強欲》である。

 正確には転生時に得ているが、先天的なもので変わりない。


 これらはユニークスキルと呼ばれ、持っている人と持っていない人が半分ずついるらしい。


 先天的なスキルには、種族特有のものもあるらしい。

 例えば、人間は《陽属性魔法》を基本的に持っている。普通の人間は魔力が少なく、明かりをつけたりすることしか出来ないそうだが。




「なぜ、ボクらのこのスキルが大罪と呼ばれるか分かるかい?」



 この話に至った経緯を思い出せないが、アリアのこの一言から始まったことは覚えている。


「昔、七人の大悪魔がいました。彼らは恐ろしく強く、しかし、優しさも持っていました。無意味に殺戮をしたりする、おとぎ話のような凶悪な悪魔ではなかったのです。

 彼らは、自分達が許せないものを持っていました。それが、【七つの大罪】です。一説には、彼らが犯してしまった罪で、それが許せず、また、それを犯そうとする者も許せない、そんな話があります。

 それになぞらえ、彼らは七つの大罪と呼ばれました。一部の人間は、彼らのことを信奉し、崇め、そして一つの宗教を作り出しました。それを、七罪教、または大罪教とよびます。教えはただ一つ。『七罪を許すなかれ』。ある時から、教団は暴走し始めました。善悪の判断なく、狂気的に、七罪をほんの少しでも犯した者達を襲い、拷問し、改心させ、そして殺しました。

 彼らは正しいことをしていると思っていました。勿論穏便派と強硬派はいましたが、人々の目には同じにしか映りませんでした

 そして、教団を知らない者や理解していない者には、


『七つの大罪が、人を滅ぼし出した』


 などと囁かれました。教団が七罪を名乗っていたためです。

 そうして、七つの大罪は、人から憎まれ始めます。それは他種族にも伝染し、七つの大罪は、大罪人として世界に知られました。

 そんな時です。たった一人の怪物が動き出します。

 彼は、人間でした。しかし、ただのバケモノでした。世界を憎み、力を求め、その憎悪を隠して生活しました。

 七つの大罪を滅ぼし得るならば、と人々は彼に力を与えます。

 彼は、七つの大罪と戦いました。負けることはないだろうと思われていました。

 そして、彼は勝ってしまいました。

 彼は知りませんでした。これから来る地獄を。

 七つの大罪を取り込んだ彼は、その力に負け、怠惰を愛し、強欲であり、暴食を望み、傲慢を極め、嫉妬し、色欲に溺れ、そして世界すべてに憤怒しました。世界への憎しみが、大罪に歪められたのです。

 それしか出来ませんでした。

 もはや、彼は彼ではなかったのです。

 彼は傲慢ゆえに神にすら挑み、そして敗北しました。力は分けられ、器に注がれ、彼は封印されました。

 偉大なる神によって、世界は守られたのです。

 めでたしめでたし…?かな。

 …つまり、ここで言われている器、というのは、ボク達の事を指しているのだと思うね。これには驚いたよ。


 このお話にはとっても面白いところがあると思わないかい?」


「何がだ。」


「考えようよ…」


「…………どうやって大罪能力を奪ったんだ?」


「正解。そう、それだよ。そんなことは神にしかできない。

 では、彼はどうやったのか。

 これは憶測なんだが、彼は、スキルを奪う、もしくは模範するスキルを持っていたのではないかな。

 だとしたら、恐ろしいね。そんなスキルがあれば、世界は彼一人で回ってしまう。

 そして、大罪系スキルにはリスクがある。それは、普通の人ならば耐えられないはず。だからボク達(適合者)が必要なんだろうね。」


 吸収する能力とリスクのある能力。

 そんなスキルは、俺の読んだことのある本にもたくさん出てきた。


 まぁ、それは大昔の話らしい。今のことだったら興味がわくのだが、どうにも。

 強いて言うなら、七つの大罪がどんな人物達だったのか知りたいぐらいだが、

「そんなことはボクも知らないよ。」

 と苦笑いされてしまった。


 それから、アリアとたくさん話した。


 魔法でどんな事が出来るのか、とか、どんなスキルがあるのか、とか、この世界はどうなっているのかとか、文明の発展、とか。


 とても楽しかった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 さっきの夢が、思い出せない。

 さっきまでは思い出せたのに、いまは思い出せなくなった。


「アリア、夢を見て、思い出せたのに、それが唐突に思い出せなくなることってあるのか?」


 アリアは、驚いた表情を浮かべる。


「ボクもそれが転生してから度々あるんだ。

 これは、一体なんなんだろうか」


 アリアもあるらしいが、知らない事のようだ。


 大事な夢な気がする。大事な、大事な記憶な気がする。


 分からない。何もわからない。


 思考を切り替えて、アリアと話す。

 しばらく、話していた。


 ノックが響く。


「誰だろうね。」

「さぁな」


 この音が、未知なる出会いの足音となることを、


 まだ、二人は知らない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ