「そう言えば」の話
「あ、そう言えば君の記憶の中で、容姿を変えるって話があった気がするけど?」
アリアに言われて気付く。
…完全に忘れていた。
「…忘れてた。ありがとう。」
うん。これはまずい。色々な意味でまずいと思う。
まぁいーや。
「で、どうするんだい?君の求める容姿はどんな感じがいいんだい?
参考までに聞いて欲しいのだけど、普通の人間は、君のような黒い髪はまぁまぁ珍しい。いない訳でもないって程だ。むしろ、金や赤、青などの方がふつうだよ?」
「そうなのか?じゃあ、とりあえず髪の色を変えてみるよ。」
そう言って、変えようとして、
「…どうやるんだろ。」
分からない。イメージすればいいのか?きっとあの適当な神の事だ。そうゆう所は、イメージだろう。魔法だってそうだったんだ。
「おお!変わってるよ!!面白いね!」
アリアがとても楽しそうだ。成功したらしい。
自分じゃ見れないのが難点だな。
実は、求める容姿はある。ただ、目立つことが間違いない気がするのだ…
「本格的に変えてみる。引かないでくれよ?」
イメージする。
髪は黒。耳にかからないようにしつつ、目のギリギリまで伸ばす。瞳は黄色にし、中央に黒い円を描く。目尻は鋭く、まつ毛は元々長いからそのまま。まぶたも二重そのまま二重。目は大きめに。自分のこの性格悪そうな目が嫌いだった。
鼻は少し高めにし、唇は薄く、小さめに。顔全体は小さく。
できた。イメージ通りならいいのだが。
「こんな感じ…かな。どうだ?」
アリアに感想を求める。
かなり驚いていたけど、すぐに冷静になり、
「うん。目立つね。でも、かっこいいとも思うよ?」
一応褒められた。
しかし、自分で自分の顔を作るとは。整形みたいだな。まぁ、そこは気にしない。せっかく異世界転生したんだし、転生らしく、姿ぐらいは変えてもいいだろう。
この顔のイメージは、元々あった。生まれ変わるなら、って考えたことがあったからな。
ちなみに、今の服装は神に頼んでみた灰色のローブのような服を着ている。一枚で上から下まで補えるのは、実に楽だ。灰色なのは俺が好きだから。黒も白も好きだが。
「よし、完成だ。これが、俺の姿。よっぽどの事がなきゃアンデットって分かんなくね?」
「そもそもアンデットだと気づく人はいないと思うけど?」
「それもそうか?いや、分かんないぞ?《感知》スキルとか、持ってるやついるかも…」
「かなり低い確率でね。《感知》スキルは《探知》とか《知覚補助》とか、あと《鑑定》とかの最高位互換だよ?わかってる?超がつくレアスキルだからね?」
そうだったのか。あっさり神様くれたけど?
「知らなかった。でも、相手のスキルを知ることの出来るスキルは無くないんだろ?じゃあ、警戒する必要ありだ。《怠惰》もあるし、怪我をしたら《不死》はバレる。完全アンデットだ。」
「そのためにボクがいるんだよ。《強欲》がうまく使えない時に人の街に行った時も、普通にバレなかったけど、今はボクに向かって来るそうゆうスキルに対して、《強欲》を使ってるんだ。能力の効果を『強奪』しているのさ。『ソナー』みたいなものだからね、ああいうスキルは。あ、けれどスキルをコピーすることは無理だからね?」
そうか、だから俺の《感知》が効かなかったのか。
ソナーは確か音などの波が跳ね返ることを利用していたはず。ならば、跳ね返っていく《感知》から、情報を奪えばいい。
強いスキルだ。応用がきく。
「ってことは、俺達が人に紛れて生きるなら、リアが必要なんだな。ほんとに助かる。ありがとう。」
「な、仲間のため、だからね。」
…こんな感じで、ユルユルと一人の人間、ではなくアンデットの姿が決まったのだった。
レージの顔をイメージ出来ましたか…?
表現力の乏しさをこのタイミングで痛感してます。もっとうまくならねば。