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怠惰と六人の仲間は今日を歩く  作者: 灰色の蛇
第一章 仲間がいれば
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八、大丈夫。

タイトルに、気づくかな…?

「そして、この森の中に転生した、というわけ。」


 かなり重い話だった。仲間を殺した国に殺されたのだから、きっと復讐心は強いはずだ。


「…辛かった、か?」


 こういう事は聞くべきかわからない。相手の気持ちを身勝手にも知ろうとするのは、良くないことだと思う。

 けれど、もし俺がこの状態なら、心の中を、ほんの少しだけ理解して欲しい。分かったように振る舞われたくはないが、無理解でも怒りを覚えるだろう。


「…うん。辛かった。」


 だから、辛かったか、それだけを聞く。

 それで、十分だ。


「辛かったんだ、とても。たった一日で、ボクの世界は変わってしまった。仲間は殺され、ボクも捕まり、逃げ出したところを一撃で殺された。ついさっきまで本を読んだり、研究したり、おしゃべりしたりしていた、ほとんど普通の女の子だったんだよ?それが、人を殺して、禁忌を犯して、殺されて。

 転生してから、独りで何度も何度も泣いたよ。今も、泣きそうだ。

 …一人、だったんだ。」


 あとは、相手が自分から話したいことを話す。軽く混乱したりするし、弱いところをさらけ出すようになる。

 アリアは、泣いている。静かに、泣いている。


 それが、可哀想で、守ってあげたくて、安心させたくて。


「大丈夫。俺がいる。一人じゃない。俺が、俺がそばにいてやるから。全部受け止めるとか、そんなことは俺には出来ない。そばにいることしか出来ない。隣で、泣いてる時に慰めよう。吐き出した気持ちを、共有しよう。だから、リア」


 彼女を抱きしめる。細かった。見た目では気づかないけど、かなり痩せている。精神的にも、肉体的にも、かなり負荷がかかっている。

 そんな身体を、強く、優しく、ただ抱きしめる。


「もう、自分を責めんな。

 もう、一人で悩むな。

 もう、一人で泣くな。

 俺が、いるから。俺が、助けてやるから。」


 驚いて、びくっ、としたリアは、そのまま嗚咽をこぼす。次第に大きくなる泣き声を、レージは忘れることは無い。


 しばらくすると、落ちついてきたのか、彼女は声を小さくする。


「…い、いつまでボクを抱きしめているんだい?

 恥ずかしいじゃないか…」


 そう言われ、腕を広げる。彼女は目と頬を赤くしていた。


「しょうがないだろ、リアが泣き続けるんだから。」


「そ、そんな事言って!泣かせたのは君だろう!甘い言葉を囁いて、ボクを落とそうとしたって無駄だからね!!


 …でも、ありがとう。凄く、助かったよ。」


「なら良かった。リアの助けになれるなら、俺は何だってするよ。だって、仲間だしな。」


 そう、彼女と俺は仲間だ。

 仲間とは、助け合って、手を取り合って、同じ事をして、同じように笑って、同じ時を共有するものだ。


「そう、だね。」


 アリアは笑う。綺麗な、微笑みだ。


「仲間なんだから、しっかり助けてもらわなくちゃね!!

 今は二人だけど、いずれ七人になるんでしょ?」


 そう、大罪能力は七つ、残り五つだ。

 もし、五人がアリアと同じように苦しんでいるなら、助けてやりたい。大罪能力持ち、と言うだけで、どうやら世界の敵になるらしい。

 仲間は、同じ大罪能力者じゃなきゃいけないしな。


「ああ、そうだ。

 悪いけど、アリアにも手伝ってもらうからな?お互いがお互いを守って、信じて。そんな七人になりたいと思う。」


 なんか、甘ったるいな。でも、嫌じゃない。むしろ、心がそれを求めている。

 早く、七人になりたい。


「うん。いいよ!

 心強い仲間が六人いたら、きっと楽しそうだし。


 それに、どんな事でも…」


 言葉を切る。ちらっとこっちを見る。

 それだけで、彼女が何かを言うのか、何故だろうか、なんとなく分かった。


「「仲間がいれば、大丈夫」」


 予想通りで、びっくりした。目を合わせて、笑い合う。

 あぁ、幸せだ。きっとこれが、幸せ、ってやつだ。


 仲間がいれば、大丈夫。


 絶対そうだ。大丈夫だ。何があっても大丈夫だ。

 守るために、強くならなきゃな。仲間を、傷つけさせるわけにはいかない。



 レージは最強を目指す。仲間のために。

 それは一人の最強ではなく、七人での最強だ。


 仲間のために、最強を目指す。

 ここに、レージが全力で生きることが決まった。


 それが世界を揺るがすことになるとは、まだ誰も知らない。

これで1章終わります。強欲に出会って、方針が決まり(?)ました。


『仲間がいれば、』の『大丈夫』というお話です。こんな感じのことしてみました。


しばらくの間は、仲間を集めることがレージ君の最優先です。ゆえにお話も仲間探しです。

(まぁ、平穏には終われませんが。)


2章からにご期待ください。


※総合PVが1000こえてました。驚き。

ブクマしていただいた方、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!!

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