女子小学生のこまった召喚
ほとんど悪ノリという、気分任せで作った作品です。
とある住宅街、1人の小学生の女の子――――というかわたしは、学校にて見つけた『あくまの書』と書かれた黒い本を読む。本の中には悪魔を呼び出すための方法が書かれていた。
「えっと、まず時間は『真夜中』?」
――――うん、むり。小学生は真夜中なんかに起きれません。9時を過ぎると眠くなっちゃうし……。
今は夕方の……6時くらい? もうお日様が沈んでるし、夜みたいなものだから良いよね?
「次は……『ぺん、たぐらむ』? なにそれ?」
良く分からないけど、"しるしのらん"って書かれているから印を書けば良いよね。適当に、『ぺんたぐらむ』っぽい印を書けば良いよね。
「『キャンドル』は蝋燭の事だから、これで良いよね」
わたしはそう言って、高校生のお姉ちゃんが持っていたアロマキャンドル(?)というのに火をつける。良い香りが部屋の中に広がっていって、とても気持ちいい。
「ひつようなもの……『ひつじちゃんのずがいこつ』。『ヤギさんの生き血』。『黒くなったイモリさん』」
うぅ……なんだか怖いものがいっぱいです。ここは似たような物で良いでしょうか?
「えっと……『黒峰羊のオカルティック水着写真』。『八木さんの名刺』、『イーアルサンスー』っと。あとは『けいやくしゃのけつえき』とありますので、図工の時に人差し指切っちゃってでた血で良いかな? ばんそうこう、外したらまだ出る……かな?」
ポタ、ポタ、ポタポタ……と人差し指の先から血をほんのちょっと――――ううっ、見ているだけでも怖いですぅ。
「後は呪文を……あっ、裏面に呪文のCDがあった」
このCDのA面の、8番に呪文の詠唱朗読があったような……。
まず一体型PCタイプのノートPCの、CDドライブを開き、その上でデスクトップのCD再生機能からA面、8番を選択する。そして選択すると、そのまま再生させる。PCのボリュームから怪しげな呪文が詠唱される。
「あっ、鳴り始めた……。えっと、我は影、真なるわr」
「それ以上は言わせないわよ!」
と、そうやって悪魔召喚の儀式を行っていたわたしの前に、1人の悪魔さんが現れました。その悪魔さんは触手がうねうねとうなっていて、とっても胸が大きくて、黒い角が生えていて、おっぱいがデカくて、背中から黒いコウモリのような羽が生えていて、とっても大きいです。
「なによ、その適当な召喚は!? まだ全然夜じゃないわよ! 時間帯が適当すぎるわ! それに印も微妙だし! と言うか、これ本当に印!? 男の人が喘いでいるように見えるんだけど!?」
「え~、印だよ~。と言うかだれ?」
「あの本の呪文で呼ばれるはずの悪魔よ! 召喚してくれてありがとうご要望はないでしょうか、ってそんな事より印がなんで、こんな神絵師さんがツブヤキッターに挙げる無駄にクオリティーの高い落書きのようになっているのよ!? しかもなんか無意味に顔を赤らめているし!? なんなのこの男同士のBL絵!?」
……あくまで普通な絵なんですけれども……。
「それにあの適当な供物は何!?」
「くもつ……?」
「本来は羊の頭蓋骨ですよ! それなのにあなたが置いたのは何!? 顔に変なメイクをした黒髪水着女性の写真に!? 変な会社員の名前が書かれた紙切れ!? 最後には意味もない言葉が羅列された紙って違うんじゃないです!? 必要な供物として適当すぎるわよ!」
「そんな事を言われても……落ち着いてください、おっぱいさん」
「誰がおっぱいさんよ! だ、れ、が!」
ムキー! と、物凄い勢いで怒るおっぱいさん。いや、普通におっぱいが大きいからおっぱいさんなんですが。眼鏡をかけているからめがねちゃん、背が高いからのっぽくん……それと同一なんですけど。
「私は誇り高い悪魔よ! それが低俗なおっぱいなんかで呼称しないでください!」
「じゃあ、触手……さん?」
「どこに!? 腕、普通の人間の腕でしょ!? 触手要素、一切ないよ!?」
いやいや――――そのうねうねとしたたゆんたゆんと揺れる巨大おっぱいをしめつけている、タコとかイカとかを思い浮かべる触手は、おっぱいの次にインパクト強いですよ。
「変な印象植え付けないで!? 触手要素、全然ないし! と言うより、なんで小学2年生くらいなのに、そんな単語知ってるの!? 触手とか普通学校で、習わないでしょうが!」
「うーんっと、これとか?」
そう言ってわたしは、愛読書を見せる。
「ラノベ!? ラノベ、ラノベ、ラノベラノベラノベ……ラノベばっかじゃないですか!?」
「最近の小学生はこういう本ばっかり読んでますよ~。ちなみに今のわたし界隈の中で気に入ってる言葉ベスト3は、『穴』『愛人契約』『中へ挿れる』の3つです」
「なにその3つのチョイス!? 最近のラノベ、そんなの書いてあるの!? そしてそのチョイス、なに!? 最高にダメでしょ!?」
ダメでしょ、と何度も何度も言いくるめるようにおっぱいさんは言っていた。
「呪文の詠唱も機械任せって、どうなの!? 血も特別な奴なんかじゃなくて、ただの図工で出来た血だし!? 本当になにそれ!? なによ、それ!?」
ムキー、とまたしても怒り口調でこちらに迫って来る触手さん。そのうねうねと伸びる少し濡れた触手は小学生と言うわたしの未成熟な身体をうねうねと「してないからね!」
「え~」
「いや、してないから! だから触手ないんだって!?」
「多分、この小説読んでいる人達はあなたの容姿、おっぱいと触手くらいしか印象ないと思うな~。そしてわたしの印象は多分、純真だとおもうわ~」
だって小学生だよ? 幼い小学生だよ?
そんな小学生のわたしに対する評価は、純真とか、そう言う印象が強いと思うんだよね~。
「いや、どう考えてもそれはないって……。気になっている言葉が『穴』『愛人契約』『中へ挿れる』の3つなどという、死んだ眼つきの小学生でしょ、あなたは。自分の容姿が描写されないからって、言いたい事言いすぎだって!」
「……と、うねうねと伸びた触手を生やしたおっぱいさんがわたしの身体をそれで縛り上げながら、その触手が段々と「だからしてないってば!?」
はぁ~、と溜め息を吐くおっぱいさん。
「で、正直不本意だけど……規則だから仕方ないから一応、聞いておきましょう。わたしを呼び寄せたからには、どんな願いも3つだけ叶えてあげるわよ?」
「じゃあ、とりあえず〇〇で××の……」
「それ、どういうひどい願い!? 明らかに危ない願いですよね!? だってなんか聞こえないもの! 悪魔である私が聞けないとか、どんな卑猥なのを命令する気だったの!? 分からないから聞けないよ!」
「ぶぅー、じゃあ□□で▽〇+で……」
「だから分からんっつーの!」
「箱箱で丸丸の……」
「漢字にしても分からないの! なんなの、このSNSは!? 意味が解らんんんんんんぅ!」
――――結局、悪魔はこの小学生の相手で、悪魔病院でストレスによる胃潰瘍認定を受けるのであった。
〇女子小学生
本編の語り部であり、小学校の図書室にあった悪魔召喚の本から悪魔を召喚した。ただ召喚が適当すぎたために、召喚された悪魔に怒られてしまった。
容姿は日本人形を思わせる黒い長髪に、死んだ魚の目と称されるような瞳であり、小学校では同じような趣味の者としか喋らない。性的な事に興味津々。
〇悪魔
女子小学生の適当な召喚に怒るために召喚陣から現れた。誇り高い悪魔だが、こんな適当な召喚で現れるくらいのランクである。
ちょっとしたイタズラをするくらいの能力しか持たず、豊満な肢体を披露して興味をそそらせるのが目的。なお、触手は「だからないってば!」