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Light in the darkness

作者: momo

初めての作品です。

2017/6/15 6:43


「おはよう。美奈」

「うん、おはよ」

私、新城美奈は中学二年生

父はいなく母が独りで育ててくれた

ずっと死に物狂いで働いてくれている

「ご飯できたから」

「うん」

「じゃあ学校楽しんできてね」

「いってらっしゃい」

いつもの会話を交わすと母は小走りで出ていってしまった

すぐさまカーテンを閉める。こうしない気が狂ってしまいそうだ

そして急いでご飯を食べ、鍵を閉めて自分の部屋に入り毛布にくるまった


時計の針は7時18分

カチコチという音だけが聞こえる

「美奈!おっはよーぅ迎えに来たよー!」

廊下からだろうか大きな声が聞こえてくる

この声は間違いなく紗良だ

別に奥深い関係はないが先生などから私の家を聞いたのだろう

耳をふさぎ目を閉じる

「おーい」

「・・・」

「おぉーーい」

「・・・」

「おーーーーーい!」

「・・・」

そのうち紗良はあきらめて帰っていった

あたりまえだ

なぜなら私は母以外の人とは近づくことも、触ることも、しゃべることさえもしないようにしたのだから

あの事件があってからは・・・


次の日の朝、紗良が現れた

「おはよう!!元気?今日も迎えに来たよー」

「・・・・・」

「ねえ聞こえてるんでしょ?返事して。」

「・・もう帰る。また明日ね!」

その日はすぐに行ってしまった、が

次の日も次の日も紗良はボロアパートのドアの前で堂々と仁王立ちをしていることだろう


6/20

ある日の朝またもや大声で

「おっはよおーございます!」

この日から心の底からじわじわと何かが出始めた

相手になんかできない

いや、相手にしたくない

もう正直ほっといてほしい


いつもと変わらぬ朝。

紗良はこの状況に飽きてしまったのか

なにかしら質問をしてきた

「なんで?私何かした?悩みがあるなら私に相談していよ。」

この優しい包みに一瞬答えてしまいそうになった

聞こえない。相手にしちゃいけない

そう心の中で何回も言い聞かせ冷静になろうと頑張る

「はぁーーせっかく来たのに・・」

「ねえねえお願い顔だけだしてでもいい。出てきて」

ここまでドアノブをがちゃがちゃと回す音が聞こえた

「・・・ん?」

「お、おおお!!開いてたよー!」

え!?そんなはずはない

・・・しまった。ドアのカギを閉めることをすっかり忘れていた

「おじゃましまーす」

階段から足音が聞こえ、部屋のドアがゆっくりゆっくり開いてくる

「みつけた!!」

紗良の顔からみるみると口元に笑みがこぼれている

その瞬間頭の中が真っ赤になった

なんで?

なんでくるの?

もうしつこいんだよ

こっちはそれどころじゃないのに。。

もう何もかも嫌だ

消えればいい

全部。全部

「消えて」

紗良の顔は一瞬にして笑みは消えた

「消えて・・・お願いだから・・」

違う方向から自分を見てる自分がいる

涙が頬を伝わるのがわかる

「お願いだから消えて!!!」

その言葉を聞いて驚いたのかすぐさま部屋を飛び出して行った

私は紗良がいなくなったことがわかると地面に泣き崩れた

「もう、最悪・・・」

時間は9時半になっていた


ガチャ

「ただいまー」

母の声だ

はっとして顔を上げた

もうそんな時間がたったのか

時計を見ると4時だった

「おかえりなさい」

「あっ美奈。もう帰ってたのね」

「う、うん、そうなんだ。ご飯ができたら呼んでね」

「わかったわ」

部屋のドアを閉めて深呼吸をすると部屋の周りを見渡した

こんなにも部屋は狭かったっけ

そう思いながら風呂へ行く準備をした


風呂の湯船につかっている時ふと今日のことを思い出した

明日、紗良こない・・よね

ハハハと笑う自分の顔が水に反射して見えた

その顔はひきつっていた


風呂から出るともうご飯の準備ができてたらしい

「ささ、もう食べちゃってー」

席に着くと母が一言

「学校どうだった?」

びくっと肩が上がるのが自分にもわかった

それでも自然な態度を見せようと会話を続けた

「楽しかったよ。先生がね、~~

もうそこからの話はでたらめだ

母は曖昧にうなずくがなんとか逃げれることができた

ご飯を食べた後、自分の部屋へ戻りベットに思いっきり突っ込んだ

その瞬間急激に眠くなった

ゆっくり静かに目を閉じた







「美奈!起きて!」

誰かに呼ばれて顔を上げる

そこには紗良がいた

なにをしゃべっているのか

聞こえないせいか、くちぱくに見える

そして何かを指さし何かを必死に訴えている








チュンチュン

鳥の声

目をぱっちりと開ける

さっきのは夢だったようだ

自分の両手を見つめる

「沙良・・?」

なんとなく夢の続きが気になった

そして一番大きな事に気が付いた私はリビングへと向かう

なぜかって?


それは沙良が


こないのだ


なんでだろう

あんな粘り強い沙良がこないはずない

まさか

昨日のことが原因で・・・

いや、やめよう

思い出すと頭が痛くなる

夢が何か関係しているのか。確かめようにも何もできない

沙良がいない

いつもと違う空っぽな暗い部屋が静まり返っている

・・・・ㇳ・・ン・・ㇳン・・

・・トン・・・・トン

ドアの叩く音が聞こえる

沙良?

違う。沙良じゃない。沙良はこんなこと、しない

お母さん?・・・も違う

・トン・・トン・・

・・・・トントン

音が大きくなっていく

トントントン・・

トントントントントントンドン

ドンドンドンドン!

怖い。怖いよ。

お母さん

沙良

「沙良・・!沙良!!」











「美奈!起きて!」

誰かに呼ばれて顔を上げる

そこには泣いている幼い沙良がいた

自分の手を広げ交互に見つめる

幼い手だ

プップー

トラック・・?

大型トラックだ

それが今まさに目の前に

私たちに突っ込んできている

トラックの光で視界がまぶしくぼやけ真っ白に見える

いや

いやだ

いやだ

沙良の手をつかむ

死にたくない

こんなところで

「さ・・・ら・・?」

沙羅が私を思いっきり前に押し倒した


「美奈、今まで・・・ありがとう」


ブーーーーーッ

あっという間にトラックは目の前ぎりぎりを通りすぎてゆく












「沙良!!!!!!!!」

ベットの上で私は両腕を伸ばしている

そして息が上がっている

ふと自分の顔を触ってみる

たくさんの零れ落ちる涙と鼻水でぐしょぐしょだ

上半身を起こし顔を拭き、呼吸を整える

はっと気が付くとそこには

母がいた

母は何もしゃべらずうつむいてポツンと座っている

私は「恥」というものを初めて実感した

こんなにもあせるものだろうか

「おっ・・おか・・・お母さんいたんだね」

しんと静まり返る

そういえばなぜ母はいるのだろうか

まだ1時だというのに

もしかしたらあのドアをたたく音は母だったのかもしれない

直接聞きたいのだが今はそういう場がない

そのとき、突然母が

「お母さん、鍵、忘れたの」

え?鍵?

「鍵を家に忘れてドアをたたいても出ないから、何が大変なことがあったんだろうって大家さんに相談して鍵、貸してもらったの。」

そういうことだったのか

だから中に入ってて・・・

「あっ!そういえば、学校だった」

大変なことを忘れていた

母の前では「学校に行っている」となっていることに

母は時計を指さして教えてくれた

時刻は11時ー

「お母さんね、気づいてたよ。美菜が学校行ってないこと」

その一言で体が凍り付いた

「ごめんね。早くっ・・っく・・気づいて・・あげていたら」

母もきっと泣くのを我慢していたのだろう

まるで子供のように泣きじゃくっている

母の手はとてもとても冷たい

「お母さん泣かないで、私も目から水が出てくる・・」

母と抱き合い分かち合った

二人で、泣いた

泣いた

泣いた

何度も

何度も

何度も何度も


今まで経験したことない悲しい喜びだった


これは私の幼いころの記憶

「美奈ー!」

「なにー?沙良」

「私がいなくても一人でやっていくんだよ?」

「えーできっこないよ」

「じゃあ秘密の合言葉を教えよう」

「っ!!なになに?!」

「「大丈夫。大丈夫」だよ」

「なにそれー」

「まあそのうち大きくなったらわかるようになるよ」

「うん!わかった」

「これは二人の約束だよ」



「美奈。落ち着いて聞いてね」

呼吸を整えた母がつぶやく


「沙良はね、美奈の双子のお姉ちゃんだよ」


そのときピシッと頭にひびが入ったような感覚に襲われた

・・・思い出した

すべてを・・・

私の記憶すべてを

沙良は私のお姉ちゃんだ

沙良は私をかばって・・・死んでしまった

沙良は私を元気づけるために、外に出てもらうために幽霊と化して毎日来てくれたんだ

私・・は?

私は何にもしていない

私は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「うわああああああああああああああああああああああああああああああ」

それからは母を困らせるぐらい泣き叫んでやった

もう我慢の限界だった

「っ・・おっ落ち着いて美奈!美奈は沙良と約束したじゃない!」

約束?何の話をしているの??

「大丈夫。大丈夫」

ゆっくりゆっくり背中を撫でてくれる

「大丈夫。大丈夫」

ああ、そうかこの温もりだけを信じていればよかったんだ

母の手はものすごく暖かかった





2017/7/1 6:45

「まぶし・・っ」

ドアを少し開けると日の光が輝くほどまぶしくて目が開けられない

目が慣れてくるとドアの玄関を全開に開けた

「行ってきまーーす!」

玄関を思いっきり飛び出した

今日から学校だ

ものすごくワクワクしている

「いってらっしゃい。美奈!ってもういったかしら?あの子あんなに変わっちゃってまるで別人みたい」

ちゃかちゃかと母も家をでる

「・・・美奈」

ふと呼ばれた気がして家を振り返る

当然母しかいない

母がそれに気づき大きく手を振る

今の声は沙良だったのかな

「大丈夫。大丈夫だよ沙良。」

沙良が笑った気がした

それに答えるかのように母に手を振る

そして大きく後ろへ回りスキップのように走った








さあ。今一歩踏み込んだ。









次の作品もも読でくれると嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました。

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