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第二の都市サリバス

 (このお方は…一体何者なんだ?)


 アインはこのカイトという人物に困惑していた。

 カイトに金貨を固辞され街までの同行を頼まれ、アインは是非にと同行を許可した。

 何故なら金貨を払わずに済むだけでなく、素性は分からないが一流の用心棒が付いてきてくれるのだ。

 これ程アインにとっての利益は無いのである。


 そして道中アインはこのカイトをどのような人物なのか図ろうと話をした。

しかし分かったことと言えば極度の非常識な人物であるということだけだった。

 聞いてきたことはこの世界の貨幣の価値、現在向かっている街、その街の所属している国、冒険者ギルドはあるのか?などである。

 「何故そのようなことを知らないのか?」とアインは尋ねてみても「辺境の村に住んでいた」と言われアイン自身そんな村聞いたことが無いと苦笑いを浮かべるしかなかった。


 因みにこの世界での貨幣価値はこの様になっている。


 石貨        

 鉄貨        

 銅貨        

 大銅貨      

 小銀貨     

 銀貨          

 大銀貨         

 小金貨        

 金貨          

 大金貨         

 白金貨         

 王貨   

 

 一番下に行く程価値は高くなり、それぞれ10枚分で繰り上げになる。

 単位はバリスで石貨が1バリスとなっている。

 大体、銀貨2枚で1人1ヶ月の間暮らすことごできる。

 

 そして、最もアインにとって驚いたのは指輪型のアイテムボックスであった。

 カイトが馬車に乗っている時、急に水が入ったコップを取り出し飲み始めたのである。

 アインはこの事に驚き何処から出したのか聞いたところカイトは指に嵌められた4つの指輪のうちの1つを突き出した。

 はじめアインはどういう事なのか理解できなかったが「もしかして、アイテムボックスですか?」と恐る恐る聞いてみたところ、カイトはニッコリと首を縦に振ったのである。

 そしてどれ程入るのか聞いてみたところ返ってきたのは、わからないという異常な返答であった。

 まず指輪型のアイテムボックスというのはこの世界で数えるほどしかなく、その価値は国宝級である。

 また、埋蔵量が分からない程となるとこの世界に一つだけなのでは?とアインは思い冷や汗をかいてしまった。

 

 だが、それでもアイン自身このカイトという人物に命を助けられたのである。

 この指輪を奪ってやろうなどとは思わず誠心誠意カイトの非常識さを説明してあげるのであった。


〜〜〜〜〜〜〜


 そんな話を一時間程したところでカイト達は街に到着した。

 道中、カイト達は魔物や盗賊に襲われることは無かった。


 カイト達が到着した街はロンビニア王国で二番目の都市サリバスである。

 この都市は現在フェロウ侯爵家が統治しており、又その当主であるアルビス=フェロウは類稀な政治的手腕により治安も良く世界でも有数の綺麗な都市である。


 「ところで……カイト様。身分の証明出来るものはお持ちでしょうか?」


 「いや、持ってないな」


 ドヤ顔で答えるカイトに苦笑いを浮かべるアイン。


 「分かりました。身分証明書がない場合は小銀貨5枚預けなければなりません。ここは私がカイト様に代わって払いますのでご安心ください」


 「ああ、ありがとう。それと身分証明書が出来るものは何処で手に入れれるんだ?」


 「それでしたら、冒険者ギルドに登録してみては如何でしょうか?そうすれば身分の保障となるギルドカードを発行してくれるでしょう。それにカイト殿程の腕があれば冒険者をすれば稼げるでしょう」


 「分かった、そうしよう。それと……すまないが冒険者ギルドまで送ってはくれないだろうか?」


 「いえいえ、カイト殿には命を助かりました。喜んで案内させていただきます。それと、今夜はうちに来てください。お礼にお食事を用意しておきます」


 その言葉にカイトは反応する。

 カイトは前世から大の食事好きである。

 その理由としては彼が暗殺者として娯楽を許されない立場にいた為、楽しめることは食事ぐらいしかなかった事が一因でもある。


 「ほぉ、それは嬉しいな。是非行かせてもらう」

 

 「はい、ありがとうございます」


 そんな会話の後無事にカイト達は街に入り、今回襲われた盗賊の死体を引き渡しに警備隊の詰所に向かった。

 そしてカイト達を迎えたのは40代で筋肉隆々の背が2m程の甲冑を着た男である。


 「おぉ、これはアイン殿!此度は如何なされた?アイン殿がここに参られるとは珍しい」


 「はい、ジェイク殿実はですね道中盗賊に襲われまして……」


 甲冑の男、ジェイクは顔色を変える。

 この街は治安が良く、経済も潤っておりお金に困り盗賊に落ちるものもいない、そしてジェイク自身自分で言うことではないがこの街の騎士団は国でも有数の力を誇り盗賊達は近づいてこないのだ。したがってこの近くでは滅多に盗賊は現れないのである。


 「盗賊……?それは本当ですかなアイン殿?」


 「えぇ、本当です。私自身も驚いております。そして此方が今回襲ってきた盗賊たちです」


 そうアインが口にすると周りの護衛達がカイトが討ち取った護衛を兵士達に引き渡していく。


 「なるほど、本当のようですな。しかし、この盗賊達は身体つきから中々の実力を誇っていそうだ。良く返り討ちにできましたな」


 すると、アインは急に興奮した顔つきになり話し始める。


 「えぇ!そうなんですよ!私自身、もうダメかと思いました!しかし、そんな時に此方にいるカイト殿に助けていただいたのです!」


 「こ、この…少年がですかな?」


 「えぇ!そうです!」


 ジェイクは驚く。

 アインによって紹介された人物はどう見ても20代に入っていない下手をすれば15歳程の少年である。

 可愛らしい顔立ちであり、またその戦闘など行ったことがないような色白の肌を見れば驚かずにいられないのだ。

 しかし、そうジェイクが思ったのも少しの間であった。

 

 (いや、良く見てみるとこの少年数々の修羅場をくぐって来た人間の持つ雰囲気を持っている。これは中々の面白い奴が現れたな。)


 「いや、申し訳ないカイト殿!ついもっとイカツイ男を想像していたのでな。少し驚いてしまったわ。ハッハッハッ!申し遅れたが私の名はジェイク=アルモンドだ。この都市では第1騎士団隊長をしている。」


 カイトは内心驚いていた。

 自分は昔から外見で舐められることが多かったのである。

 

 (俺の技量を本能で察知するか。なかなかやるなこの男、騎士団の隊長をするだけのことはあるな。)


 そう思いカイトの中でジェイクの評価は上がる。


 「いや、別に気にしていない。昔からこの顔で舐められることには慣れている気にしないでくれ。改めて俺の名はカイトだこの街でこれから冒険者として活動していく気だよろしく頼む」


 「あぁ!こちらこそよろしく頼む!この街は良いところだきっと気にいるだろう」


 「それでは俺はこれからこの盗賊たちの懸賞金を調べなければならない。少し待っていてくれ。」


 そしてカイトはその後ジェイクから頭であった盗賊の懸賞金であった大銀貨1枚とその他の盗賊たちの銀貨5枚分、合わせて1500000バリスを受け取りアインに案内してもらい冒険者ギルドに向かうのであった。

 


 


 

 


 

 

 

 


 

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