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レッドアイズバード

 

 「おぉ…!!」


 海斗は思わず驚きの声をあげる。


 家の外に出ると東京ドームほどの広さの敷地があり、遥か彼方を見るとここは深海だとわかる真っ暗な海が見えた。

 その壮大さに海斗は息を飲んだ。


 因みに海斗がいる敷地は魔法によって光があり照らされている。


 この庭は家を中心に東西南北と4つの地域に分かれ、北には米や野菜、麦などの食料と家畜が育てられており、ハリスが錬金術によって創り出されたゴーレムによって管理されている。

 また現在、ハリスは老衰で死んでいるためゴーレムの所有権は海斗自身にあり自由に動かせることができる。

 次に東にあるのは様々な果物を育てている果樹園、南にあるのはハリス自身が好きであったとされている海底火山を利用した巨大な露天風呂、西には様々な金属や燃料を獲得するための鉱山である。

 もちろん此方もゴーレムによって管理されている。


 ある程度の偵察も済んだ海斗は露天風呂に入ることにした。

 海斗自身も前世では大変の温泉好きであったのだ。

 正直この露天風呂、海斗にとっては何よりも嬉しく、異世界に来たからには風呂無しをも覚悟していたのだ。

 その露天風呂でも海斗は驚きの連続であった。

 まず風呂に入る前に海斗は前世とほぼ変わらないシャワーを見つけ驚く。

 これはハリスが海斗から読み取った知識で新たに作ったものである。

 そして更に海斗を驚かしたのはシャワーの横に置いてある大量の石鹸とシャンプーの存在である。

 ハリスから貰った知識によればこの世界では石鹸は高級品とされており、貴族や王族にしか使用できないとされているのだ。

 何故これほどあるのか?

 それも海斗から知識を受け取ったハリスが様々な方法を使って海斗のために作ってあげたのだ。

 お人好しの奴だなと海斗は思いながら心の奥でハリスに対して感謝し、身体を洗い海斗は露天風呂に入るのであった。


 「これは…良いな…」


 普段クールな海斗でも露天風呂の魅力には敵わなかったのか思わず感嘆の声を漏らす。

 因みにこの温泉には魔法がかかっており疲労回復促進、魔力回復促進など様々な魔法がかけられており、地球の温泉よりも気持ちが良いので思わず声を漏らすのも仕方がないのかもしれないが。


 「ただ…こんな馬鹿でかい風呂一人で入るってのも寂しいもんだな…」


 そんな事を声に出しながら海斗は小さく決意した。

 ずっと此処でのんびりと一人で暮らすとなると寂しいと感じるのだ。


 「明日からは外に出てみるか」


 そのまま、風呂を上がり海斗は家に戻りベットの中で眠るのであった。



 翌朝、いや厳密にはこの海底ドームはずっと明るく、朝か夜かは分からないのだが海斗は目を覚ました。


 海斗は眠たい身体にムチを打ち、二度寝しないように顔を洗う。

 そして、調理場にまで足を運び調理場にあるアイテムボックスから食パンと何かの果物でできたジャムを選びそれをパンにつけ食べる。

 ジャムはイチゴに味がよく似ており、大変美味しいと感じ海斗自身満足のいく味だった。


 

 「さて…どうしたものか…」


 今、海斗は家の中の一室ににある転移門の前に立っている。

 これから地上に出ようと考えているのだ。

 だが、この転移門一つだけけ欠点があり現在ハリスが生きていた時代から何百年もの先の時代だと言うことだ。

 この転移門の先は何もない草原だと認識しているが、もしかしたらこの数百年で街が出来ており人が生活していたりするかもしれない。

 もし街がなくても誰かに転移したところを見られるかもしれない。

 そんな事があれば間違いなく大騒ぎになり目をつけられてしまうだろう。

 だが、海斗は少し考え答えを出す。


 「まぁ、変な場所に出たら直ぐに転移の指輪でここに帰って来れば良いか」


 そして海斗が出した答えは転移の指輪で逃げてしまうという短絡的な手段であった。


 「そうと決まればさっさと行くか」


 海斗はそのまま転移門の中に入る。

 海斗は入った瞬間視界が暗転し少し驚くが何とか心を落ち着かせしばらく待つと、視界が見る見るうちに明るくなり眩しさを感じ目を開けられないが、徐々に光に慣れていき辺りを見渡す。

 そこは情報通り何もない草原であった。

 どうやら、数百年経った今も此処は何もない草原のようで海斗は一先ず安心した。


 となると先ず海斗は人のいる所、具体的に言うと町を探すことにした。

 運良く草原には馬車が通ったような轍があり、これを辿っていけば町や村に着くだろうと思い海斗は歩き始めた。


 天気は快晴であり強い日差しが差している。

 少し暑いと感じる気温ではあるが海斗には黒緋のローブがあるため快適であり、強い日差しさえも気持ち良く感じてしまうほどであった。

 そんな気持ちの良い旅も15分程で終わりを告げることになる。


 海斗は直ぐに異変に気付いた。

 

 (何かがこっちに寄ってきているな)


 海斗は長年暗殺稼業に身を置いたことにより気配を察知する能力はかなり高く、又ホムンクルスという身体には前世よりも五感が優れるようになったことにより更に気配察知の能力は高くなっている。


 海斗が目をやった先にいたのは3羽の鳥型の魔物である。

 体長は1メートルほどで中々の大きさであり、紅色の羽と眼を持った真っ赤な魔物である。

 海斗がハリスの記憶を探り出てきた魔物の名はレッドアイズバード。

 鋭い嘴と身体の中に火炎袋を利用し生み出される口から出す火炎弾に気をつけなければならない魔物である。

 ハリスの時代に存在していた冒険者と言う魔物を狩ることを仕事の一種としていた者たちの中ではDランクと中堅クラスの魔物であり、複数を相手とするとCランクと言われる魔物である。


 海斗はアイテムボックスから雪姫と魔法銃を出そうかと考えたが思い止まる。

 なぜ海斗は武器を取り出さないのかと言うと試してみたいことがあるからである。

 魔法である。


 海斗には気付いたが、まだ襲って来ようとはせず海斗に対して唸りを上げ威嚇をするレッドアイズバード3羽。


 レッドアイズバードに対して海斗はハリスの十八番であり、海斗にとっても一番の適性を誇る雷魔法を唱える。


 「雷よ我が命に従い、矢となり彼の者を貫け 雷矢サンダーアロー


 海斗がそう唱えると1本の雷の矢が海斗の掌からレッドアイズバードに目かげて飛んで行く。

 レッドアイズバードは避けようと動くが雷矢サンダーアローの速さについていけず命中し、体に風穴を開け地に落ちる。


 「おぉ…これは凄いな!」


 思わず海斗は魔法の威力に声を上げ呆然とするが、直ぐに残りのレッドアイズバードの戦闘に集中する。


 残った2匹のレッドアイズバードは仲間がやられた怒りからか海斗に対して口から炎弾を吐き出す。

 避けようと思えば避けられる攻撃だが魔法を試すために海斗はこれに対して待ち構え魔法の詠唱を始める。


 「雷よ我が命に従い、盾となり我が身を守れ 雷盾サンダーシールド


 詠唱が終わると海斗の目の前には一辺2メートルほどの雷で出来た盾。

 その盾に炎弾が命中するが一切海斗の元へは届かず攻撃を無力化する。


 そして瞬時に海斗は二本の雷矢サンダーアローを二本発動させ残りのレッドアイズバードも先ほどと同じく体に風穴を開ける。


 「中々の威力だが、詠唱が必要というところが1つの欠点だな」


 海斗はそう魔法の長所と欠点を指摘すると静かに3羽のレッドアイズバードの死体を運搬の指輪に入れるのであった。

 


 


 

 


 


 



 

 


 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

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