ラーゲルレーフ (7)
ラーゲルレーフ城での悪夢から翌日。
ウェイディは広く、ベルディニオ全土にアモンの死を報じ、さらに翌日には首都ラーゲルレーフにおいて、王族級の国葬をとりおこなった。
このウェイディの行動に、親王派の者たちは揃って驚愕した。
元々、反王勢力の旗印となるのを恐れて行われた暗殺であるにもかかわらず、盛大な国葬でアモンを送ることは反王勢力にとってアモンの存在を一種の「英雄」として祭り上げる要因ともなりかねず、彼らの危機感は一気に膨張した。
が、ウェイディのこの行動は、思わぬ形で彼らに味方する。
国民に広く発布されたウェイディのアモンに対する弔辞がその理由である。
(我が友にして唯一の理解者、アモン・ベルディニオ・モルガン。その魂を天に帰す)
この一文に国民も親王派、反王勢力に至るまでがあまりの驚きに言葉を失った。
本来、公爵たるアモンに対しベルディニオの名を与えるというその行為は、簡単に言えば彼を己と同じ立場……身分として扱うということを意味し、人々はウェイディのアモンに対する異常なまでの手厚い弔いの姿勢に心打たれ、国内のウェイディに対する信認は急速に高まることとなり、結果としてベルディニオ国内の情勢は親王派……というよりウェイディに大きく傾き、図らずも安定を見ることとなる。
そして、
首都での大規模な国葬の後、アモンの遺体はラーゲルレーフ城の敷地内にある王家の墓へと石棺に納められ、埋葬された。
本来、王族のみが死後、納められることを許されるはずの王家の墓。
そこにも公爵という身分を越えてアモンを遇したウェイディの心情がうかがえた。
とはいえ、これらの行為はウェイディにどれほどの安らぎを与えてくれただろうか。
過ちを悔やむのはたやすい。
しかし過ちを正すことは出来ても、過ちを償うことは出来ない。
罪を背負って生きる。
過ちを見つめて生き続ける。
ある意味、アモンがウェイディに残したものはあまりにも残酷であった。




