表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nympholic Amon  作者: 花街ナズナ
52/91

氷の古城 (2)

険悪な雰囲気の中、三人揃って一つの暖炉に当たりつつ、ふとアモンはちょっとした不安に駆られ、先ほどから暖炉の前をてこでも動こうとしないテオドールに問うた。


「……ところで、今日の夕餉は一体どうするんだ?」

「一食ぐらい抜いても死なないでしょ?」


明らかに寒さを理由にした職務放棄宣言である。


アモンは無駄に腹を立てて空腹が促進されるのを避けるため、努めて冷静に反論した。


「私はその一食で一日を生きてるんだぞ。それを抜いたら間違いなく死ぬだろうが……」

「はいはい、言い方を改めます。一日二日は食べなくても死んだりしません!」


血が滲まんばかりに唇を噛みしめる主人。


わざとらしくそんな主人にそっぽを向く従者。


いたたまれない空気にもはやため息しか出ない庭師。


彼らのあまりに非建設的な時間はそのまま日暮れまで続くかに思えた。


しかし、


「あ、そうか」

「?」


いきなり、一人で勝手に納得したようなことを言うテオドールに疑問の視線を投げかけると、テオドールはやけにいやらしい目つきで笑い、二人に言った。


「バカ公爵の蔵書……あれ、燃やしましょう」


アルセイデスは、ああ、なるほどといった顔。


アモンは……死刑宣告でも受けたような顔をした。


「……えーと、テオドール。お互い寒いのはよく分かるんだが、できればもう少し面白い冗談を願いたいな。今の冗談では逆に凍え死んでしまうぞ……」

「本気です」


アモンの言葉に食い気味で返答する。


と、いそいそとテオドールは立ち上がり、部屋を出ようとドアへ向かった。


「ちょっ、ちょっと待てテオドール、どこに行く気だ!」

「まずは一階の書庫から片付けようと思いますので、ご了承ください」

「了承するかそんなもの!!」

「アルセイデス、悪いけど手伝ってもらえる?」

「はい、分かりました」


庭師の同意にアモンは一瞬、気が遠くなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ