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第七話 祝福の赤

とうとう最終話だよ!!



「ずっと一人だった...」



パンジーは苦しく言葉を吐いた



「お兄様も、お母様もお父様も...アタシに冷たく...アタシはいつも愛に飢えていた...」



そしてしゃがみ込む



「そんなアタシに...優しさをくれた...人の温もりを教えてくれたのがアナタだった。」



インの方を見つめてくるパンジー。



「消えたくなかった...アナタの中から消えたくなかった...忘れられるのが怖かった、だから契約を施した...それなのに」



そこまで言った直後に、彼女は暖かいモノに包まれた。



「御免ね...」



インが彼女を抱きしめ、涙を流していたのだ。



「ごめん...僕のために君は命を投げ出してまで救ってくれたのに...僕はただ忘れようとしてた...逃げていただけだったんだ...」



そして、顔を合わせる



「でも、思い出したんだ...自分と向き合って...だから、約束する。

君の事は一生忘れない。たとえ違う誰かと歩む事になっても。

君の事はぜったい、ぜーったい忘れない!」



すると彼女の瞳から涙が零れた。



「だから、もうそろそろ...君も自由になって欲しい。自分に負けないで欲しい。」



「自分に...負けない...?」



「そう。僕達はね、自分自身とも戦わなきゃいけない。」



そしてシルクがゆっくりと加奈、もとい、パンジーを抱く。

パンジーは顔が緩やかになり、眠るように目を閉じた。



すると、どうだろう。死んだときと変わらないパンジーそのものが、スゥと加奈の後ろに現れた。



そして目を覚ました加奈。キョロキョロと辺りを見回す。



「あれ?私...たしか...」



『加奈ちゃん』



パンジーは加奈の前に立つと、申し訳なさそうな顔をしながら手を握ってきた。



『色々とごめんね...アタシ...』



「分かってる。」



優しく答えた加奈。



「あなたの気持ちは、痛いほど私に伝わってきた。」



『でも、本来なら許されない事を...』



「それでも、私はアナタを許すわ。」



キュッとパンジーの手を握り返す加奈の手の上に、インも手を置く。




「僕もだよ。長い間、苦しかったでしょ?

悲しかったでしょ?だからパンジーは、もう許されても良いと思う。

それにね?君のお父さんお母さん、君の事を愛していたよ?」



『え?』



「事故の日、僕が起きた時にね?『分かってたのに何も出来なかった』って言ってたよ。

泣いてた。十分に愛をあげられなかったって...御免ねって...後悔してたよ。

君の家族みんな。」



そのインの言葉に彼女は微笑んだ。



『ありがとう...教えてくれて...』



そして、光に包まれる



『もう、大丈夫のようね』



シルクが微笑みながら夫と子に抱きつく。

そしてパンジーと共に光に包まれていく



『私もこれでやっと逝けるわ』



彼女はそう言いながら微笑んだ。



やがて、辺り一面眩くひかり...気がつけば元の遊園地にいた。



「あのー、お客様、もう閉店なんです。お帰りになられてください。」



「あ、はい。」



父、夕夜ゆうやが返事をしながら、二人の手を引き車へと誘導した。



「あれ?インの首筋に有った変な青いチューリップの模様がなくなってる」



車の中、帰路につく間に加奈が気づき、インに話す。



「本当に?!お父さん!本当に無くなってる?」



「...本当だ...跡形も無い...」



その返事を聞き、乗り出していた体を元に戻すイン。ストンと力なく座り込む。



「どうしたの?」



「加奈!!」



ガバリと抱きつくインの行動に戸惑う加奈



「な、何?どうしたの?」



「契約が解除されたんだ!!僕の名前も思い出せる!!やった!やったよ!!」



そして、加奈と正面に向き合うイン。



「僕の名前は中野蛍なかの けい。ホタルと書いてケイ。暗く悲しい、辛い暗闇の中でも、懸命に光り輝けるように、光を失わないような子になって欲しいって、お母さんとお父さんから貰った名前...」



「蛍...素敵な名前だね!これから宜しくね。」



「うん。」



微笑む二人をバックミラー越しに見ながら、父は満足そうに、しかし邪魔するように咳き込みながら呟いた。




「良い雰囲気なのはいい事だが...接吻はまだ許さないぞ?」



今まさに雰囲気に流されて、しようとしていた二人は慌てて座り直した。




「とりあえず、家について休んでからだ。」




二人は顔を赤くしながら俯いていた。




父の車が家へついた頃、この時間帯に無理したためか、二人の子供は寝息を立てて寝てしまい、仕方なく加奈の親の方に連絡をして彼女を家に泊めて貰うことになった。



二度と放すまいと手だけはきっちりと握られている。




家の二階建ての蛍のベットに二人の子供が幸せそうに眠る。





全ての因果



困難



そして自分自身の運命に立ち向かい



赤と黄色の髪の子達は今度こそ、ハッピーエンドを掴めたのである。



朝起きてビックリした加奈の悲鳴と共に起こされる破目になるとは、夢にも思わない蛍だった。



終わり。


とうとう終わりましたよ~~。いやぁ、長かったような

短かったような...不思議な気分ですなぁ。


まだまだ書き足りないと言うか、疎外感?と言うか...


秀「そんなに書きたいんなら俺の話をとっとと終わらせやがれよ」


また出てきたよ!!なんだよ君は!!

主人公だからって何でもやっていいなんて思ったら大間違いだ!!


秀「いや、て言うか、誰も読んでくれないからってすねてるわけじゃないぜ?ただ暇で...」


...本音、出てますよ秀くん。


ってことで、『俺の今日』の方もよろしくね!!

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