第四話 アナタハダレ?
私が目を覚ますと、凄く整った顔が、私の顔を覗いていた。
「智美・・・・?」
「良かった!やっと目覚ました!」
智美の言葉で、悪友達が私のベットを囲む。
「良かったぁ!」
彩香。
「頭、大丈夫?」
結香。
「一緒に乗ってた、雪も無事だったよ!」
春菜。
最後に、イケメン男子が私に微笑んだ。
「良かった・・・・無事で。死んじゃったと思ったよ・・・・」
えーと・・・・。
「ダレ?」
智美がスッテンキョウな声を出す。
「ふざけてんの?松下優希だよ!?」
「そんなに怒鳴らないでよぉ。智美の彼氏?」
何度も、男の子の顔を見る。
うーーんと・・・・。
「マジで・・・・?覚えてねぇの?俺の事」
男が、私の腕を掴んだ。
「嘘つくんじゃねぇよ?俺の顔しっかり見ろ!」
「放してよ!」
私は、男の手を振りほどいた。
「いい加減にしてよ!アンタなんか知らないんだから!帰って!帰ってよ!」
私は、彼に部屋から出て行くように、ドアを指差した。
智美が、彼の背中を押し、みんな部屋から出て行った。
皆の足音が、聞こえなくなってから、私は布団に包まって泣いた。
誰なの・・・・?大切な・・・・大切な人のはずなのに、思いだせない・・・・!
ムリに思い出そうとすると、頭が紐で締めつけられるように痛い・・・・。
どうして・・・・?どうして思い出せないの・・・・?
「記憶障害!?」
私と優希が声を上げる。
私、智美と優希は、桜に部屋を追い出され、医者に呼ばれた。
「はい・・・・。一部の記憶が欠けているようです。」
「それって!」
優希が、医者の胸倉を掴んだ。
「それって、治るんだよな!」
「優希!」
私は、優希と医者の間に入った。
「治るんだよな!な?」
医者が、少し間をおいて言った。
「残念ですが・・・・・」
・・・・・。
「桜さんの場合、治る可能性は、20%です・・・・」