第2話 梅雨
「はぁ~・・・・」
外は雨。今日から梅雨が始まる。
「なぁに、ため息なんかついてんの!恋でもしてるか?」
サトが私の背中をたたく。
「ばっ!そんなんじゃないから!ち・・・ちがうからね!?」
私は手と頭を、左右に振った。
「まっさか!図星?でも桜が、恋なんてねぇ」
「だぁかぁらぁ!違うってば!」
やっぱり、髪が赤茶色のヤンキーが、恋なんかしないよね・・・・。
「そっか。じゃ、私トイレ行って来るね!」
私に微笑むと、サトは教室を出て行った。
「きゃっ!」
私は窓から、校庭を見下ろした。
その時サトの悲鳴が聞こえた。
「サト!どうした―――――」
私の声は、サトに届いてなかった。
「あっ!ごめんな、俺前見てなかったから・・・・。」
「ううん!私が悪いの!ごめんね。」
「じゃあ、気をつけてな。」
サトの頭をポンポンと、軽くたたいて、松下優輝は席に着いた。
サトの顔は真っ赤だった・・・・・。
「はぁ・・・・」
優輝は、サトの事好きなのかなぁ・・・・。
好きじゃない人の、頭なんか触らないよね。
でも私は、優輝の事が好きなのかな?
今までは、適当な恋ばっかだったから、解らないや。
そうだ。私は、優輝を好きじゃない!松下優輝を好きにならない!
もし、サトが優輝の事を好きになったら、応援してあげよう!
「桜?」
私の靴箱の前で、竜吾が座っていた。
「何してんの?こんな所で」
「聞きたい事があるんだけど」
竜吾が、頬を赤く染めて言った。
いつの間にか、雨が止んで虹が出ていた。