スタート
俺の名前は華佗。
響く学校のチャイムとほぼ同時にみんなが玄関から飛び出し、家へ帰る。
「もう夏休みかー」
俺は友達と帰りながら雑談していた。
すると友達の夕霧は道路の端を指差す。
「何あれ」
みんなが一斉にその方向を見る。
そこにあるのは…………キューブ型のおもちゃ?
透き通るような青緑色だ。
(なんだ、おもちゃか)
そう思ってそれに触れると───。
いきなり視界が真っ白に包まれた。
そして目を開けると、あたりは謎の空間。モヤモヤとしたピンク色がどこまでも続いている。
さらにみんなの脳に流れたのは、「記憶」。
知らない誰かと楽しく過ごしていたり、共に笑いあっている。
気づけば、元の場所に戻っていた。
「何だったんだろう?」
「なんかキモかったな」
特に気にせずみんなでいつもどうり帰った。
俺は家に着いて寝っ転がって、あのことを思い返した。
「にしてもあれ、なんかデジャブを感じる。」
しばらくしてると、庭で大きな音が聞こえた。
外を見ようとしたら突然、窓ガラスが割れ化け物が入ってきた。
(え…。)
俺は声すら出なかった。しかし、何故か自然と体は動いた。
キッチンに行って包丁を持った。
(勝てるわけない…!)
咄嗟に部屋の隅へ逃げてしまった。
迫る化け物。迫る感情。ひたすらに叫んだ。
「来るな!……誰か助けて!」
けれどそんな言葉は誰にも届かない。周りには誰もいなかったからだ。
泣き顔のまま、叫びまくった。
「来るなああああああああぁぁぁ!!!」
すると包丁の先から燃えたぎる炎が吹き出た。
ギェェアアァァ!!――
化け物は苦しいのだろう、甲高い悲鳴をあげて瞬く間に消えた。
ゼェゼェと息を切らしながら今までのことを整理した。やっぱりデジャブを感じる。
そう思い俺は、何かを支えるように手のひらを上に向けた。そして力を込めると、スライムのような水が出てきた。それを庭に投げると木に当たりバシャっと水が飛び散った。
(やっぱりだ…、あ……だとしたらみんなが危ない…!)
俺は足に力を込め、友達の凛の家へ向かった。それはとても速く、雷のようだった。
「おい凛!大丈夫か!?」
同じ化け物が友達の凛を襲っている。
「華佗!?」
俺は殴るように化け物に襲い返した。拳から炎が出て、化け物はこれはまた瞬く間に消えた。
「話は後!」
俺は凛の腕を掴んで、次々にみんなの家へ向かった。俺らだけこの化け物は襲っていたのだろう。
みんなを俺の家に連れて事情を話した。
今言うことだけど、連れてきた友達は
凛 夕莉 夕霧 晶馬
慶斗 光哉 涼香 卓 佳逸
の九人だ。
「落ち着いて聞けよ?この世界は俺の妄想世界だ。」
華佗は早速話をし始めた。だが……。
………。シーンと沈黙が続く。
(厨二病?)
ボソッと光哉が言った。
「違う!!」
「本人は気づかないもんよ」
「ちーがーうううう!!」
もう泣きそう……。
「話戻すけど、本当なんだよ。ちょっと分かりやすく説明するな」
俺は紙に書いて説明した。
「まず、この世界には"能力"というものがある。そして、俺たちが暮らしてる世界の"表の世界"、とても治安の悪い暗い世界の"裏の世界"、この2つに別れちゃったんよ。」
「ほうほう。」
みんな頷いている。俺、トークスキル上がっちゃった?そう浮かれていると、晶馬が言った。
「その、能力ってなんなん?」
「そうだな、簡単に言えば魔法みたいなものだよ。そうだ、ちょうどいい。これからみんなの持っている能力を発表しまーす!」
話が段々追いついてきたみんなは、一気に盛り上がった。
「ちなみに能力を2つ持っている二重能力所持者は、とてもレアだしそもそものステータスが高い。それじゃ、言ってくな」
そして発表をし終えた。予め表に書いておこう。下から順に、
凛:風、自然
卓:和、残像
晶馬:マジック、時空列車
夕霧:岩生成、鉄生成
夕莉:無限弾丸、ガンマン
光哉:天使、光
慶斗:闇、陰影
涼莉:幻、弾幕
佳逸:鋼、化学変化
華佗:炎、水、氷、雷、音
そう、みんな二重能力所持者なのだ。
「これからどうする?」
確かに、どうしようか。
「俺もう家帰んないと」
夕莉は戻ろうとしたが俺は言った。
「そいえばこの妄想世界、俺たちの親は謎の理由で失踪してしまっている」
一同「…………は?」
――終――




