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日本発・異世界ゲートVlog ―数年前に異世界ゲートが出現したので、一般人が許可証を取って旅してみる話―  作者: mii


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第4話 魔法都市のVlog旅


「どうも、サクです。

今日は、前回のライブで一番リクエストの多かったゲートに来ています。」


この世界は"アルカニア"と言う名前が付けられています。現地の正式名称は違うっぽいけど、地球の人が呼びやすいように別名みたいな感じです。


某魔法映画を思い出す人が多いらしくて、コメントとかで名前が多数、上がっていました。


ここも初心者向けの観光型で、他のクリエイターさんも動画を上げています。


結構な有名スポットです。


ただし、前回よりもルールが多いです。

・城壁の外に出てはいけない

・異世界人向けの印がある店以外では買い物不可

・撮影NGエリアも一部あり

この他にもありますが、とりあえずこの三つは、絶対に守らなきゃいけないものです。


皆さんも来る時にはしっかりチェックましょう!


アルカニアでの最初の目的は、"魔法体験できる店に行く"です。


「……ってことで、すでにゲートは抜けました。

今は魔法都市側のターミナルの外に出たところです。」


なんか、空気が違う。

湿度は地球とそんなに変わらないはずなのに、匂いが少し焦げっぽいです。

暖炉の残り香みたいな、火を使う匂いです。

時々、色の付いた煙が漂っています。


目の前には、石造りの建物が並んでいます。

一軒一軒の幅が狭くて、縦に伸びている。

壁はくすんだレンガ色で屋根は黒い瓦。

窓は小さくて可愛いです。


「やばい…映画の中に入ったみたいでテンションが上がります。」


道は石畳。

ところどころ、石が少し浮いていて、踏むとカタンって音がします。


車は通っていない。代わりに、荷物を積んだ手押し車と、箒に乗った人影が上のほうを移動している。


「今、空を横切ったの、見えたかな。ほら、あそこ!」


丸い帽子とローブ。

テンプレみたいな格好なんだけど、実際に飛んでると、どうしても笑ってしまう。


案内にあった異世界人向けの道を歩いています。

両側に並んでいるのは、観光客向けの店ばかりです。


杖の形をしたお菓子屋。

小瓶に光る液体を入れて売っている土産物屋。

魔法陣みたいな模様の入ったマントを貸し出してくれるレンタル衣装の店もある。


「荷物が増えるんで買い物は帰る時にします。

そのVlogも撮る予定なので、今は我慢…!」


子ども連れの家族も多いです。

地球側の観光ツアーっぽい団体が、ガイドさんにくっついて歩いています。


ガイドの人が、「ここから先は城壁の外には出られません」と、はっきり告げているのが聞こえる。


「これが城壁かぁ。少し先に見えますね。」


街をぐるっと囲むようにそびえていて、外の景色はほとんど見えません。

門はあるけど、その前には兵士みたいな人たちがいて、観光客が外へ出ないように見張っています。


とりあえず、俺が向かうのは「魔法体験ホール」。

観光用に開放されている施設で、魔力を持たない異世界人でも、魔法を使える体験が出来る場所らしいです。


渡された地図を見ながら進んで行きます。

道が入り組んでて迷いそうです。


なんか歩いているだけでもめちゃくちゃ楽しい。

角を曲がるたびに、違う匂いがします。

薬草を乾かしているような青臭い匂い。

甘い焼き菓子の匂い。


どこかから、金属を打つカンカンという音も聞こえてくる。

路地の奥のほうでは、子どもたちが、小さな光の玉を飛ばして遊んでいるのが見えます。


手のひらから小さな光がふわっと浮かんで、相手のところまでふよふよと飛んでいく。

あれは、ここの子どもなら誰でもできる簡単な魔法なんだろうか。


「もう、ずっとしてるけど更にワクワクしてきた!早く俺も魔法を使ってみたいです。」


しばらく歩くと、大きな広場に出ました。

石畳が少し広くなっていて、真ん中に噴水があります。これは噴水と言う認識で合っているのだろうか。


水が空中にゆっくり浮かんだまま形を変えていて、落ちてきません。


……。


広場の奥に、ひときわ大きな建物がありました。


丸みのある塔が何本もくっついたような形で、

入口の上には、この世界の文字で何か書いてある。


「こちらが魔法体験ホールのようです!

じゃ、さっそく入ってみましょう。」


中は、外より少しひんやりしています。

床は黒っぽい石で、壁にはランプが等間隔で並んでいる。

炎が入っているように見えるのに、熱は伝わってこないのが不思議です。


受付カウンターには、ローブ姿のお姉さんが座っています。


「ようこそ。体験コースをご利用ですか?」

「はい。お願いします。」

「ではこちらの紙にご記入をお願いします。」

「分かりました。あっ後、動画の撮影をしたいんですが大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。ご記入が出来たらあちらのイスで少々お待ちください。」


呼ばれた後、別の部屋で簡単な説明を受けます。


この施設で使うのは、魔道具と呼ばれるもの。

中にあらかじめ決められた魔法が封じ込められていて、魔力を持たない人でも、その魔道具に触れることで魔法を発動させることができる。みたいです。


今日体験できるのは、初心者コースで三種類。

・光を出す魔法

・風で物を動かす魔法

・小さな火を灯す魔法

どれも、威力を極力抑えてあって、暴発しても怪我をしないように調整されているらしい。


それでも一応、注意事項を読み上げられる。

人に向けないこと。

壊れ物の近くで使わないこと。

係員の指示に従うこと。

同意のサインを渡して、更に奥の部屋に案内されました。


部屋はとても広いです。


床に丸い印がいくつか描かれていて、それぞれの位置に立つように言われます。


他にも何人か、観光客らしき人たちがいて、同じようにキョロキョロしている。


係の人が、台車を押して入って来ました。

台車の上には、細長い箱が並んでいるのが見えます。


映画で見たことのあるような光景に、思わず笑顔になってしまう。


「お一人ずつ、一本ずつお選びください」


箱を開けると、中には想像通り杖が入っています。

木の色も、長さも、少しずつ違う。

細くて軽そうなもの。

短くてごつごつしたもの。

握る部分に金属の飾りがついているものもある。


どれを選んでも性能は同じ、と説明されたけど、

せっかくなので、なんとなく手に馴染みそうなやつを探してみました。


「……これにします!」


濃い茶色で、表面に細い模様が刻まれている。

先端に向かって少しだけ細くなっていて、

カッコイイ!


ドキドキしながら手に取ると

重さは思ったより軽い。

でも、ただの木の棒とは違う感じがしました。


握ったところから、じんわりと冷たさが伝わってきて、

次の瞬間、逆に指先が温かくなります。


「あ、それ、合ってるかもしれませんね」


係の人が、そう言って微笑んでくれました。


何を基準にそう言っているのかは分からないけど、悪い感覚ではなかったです!


全員が杖を選び終えると、ついに!体験が始まります!


まずは光の魔法から。

杖を持っていないほうの手を軽く握って、意識を杖の先に向けるように…。


「それでは、合図に合わせて、心の中で“灯れ”と唱えてください。声に出しても構いません」


合図の声がかかります。


心の中で、言葉を浮かべるだけでも良いんですが。

せっかくなので声に出して唱えてみました。


「 …灯れ!」


おぉ!見てください、杖の先端から柔らかい光が生まれました。

電球よりも淡くて、周囲が、少しだけ明るくなります。


「すごい…!!」


隣の子どもも、同じように目を丸くしているようです。

光は、俺の感情に合わせて強くなったり弱くなったりしました。

興奮しているときは少し明るくなり、落ち着くとまた柔らかくなる。


次は、風の魔法!

床に、小さな木片が置かれます。

それを、風で向こう側に転がすのが目標らしい。


「さきほどと同じように、杖の先に意識を向けてください。今度は“吹け”とイメージするだけで結構です」


俺の顔が酷いw

この時、木片を見つめながら、杖の先から空気が押し出されるところを必死に思い浮かべています。


「吹け!」


気のせいかもしれないけど、目に見えない何かが、腕から杖へと流れた気がしました。


次の瞬間、弱い風が木片をコトンと音を立てて転がします。


面白い。


これ、癖になりそうだ。


三つ目は火。

これは、さすがに少し緊張します

目の前には、小さな蝋燭が立てられました。


灯すのは簡単だけど、火は火です。


「炎は最小に調整されています。驚かれるかもしれませんが、焦らずに」


係の人の声を聞きながら、蝋燭の先を見つめます。


今度は、“点ける”というより、“灯す”を意識するらしいです。


「……灯せ!」


杖の先が、じわっと熱くなったと思ったら。

チッ、と小さく弾ける音がして、蝋燭の芯に小さな炎が生まれました。


感動です!


自分の魔法で火がついた、という事実が、じわじわと

胸の奥を、熱くします。


この後、30分間くらいでしょうか。

3つの魔法を自由に使って遊べました。


体験は、ここで終了です。

杖はこの場で回収されます。


結構、気に入った杖だけあって、

名残惜しさはあるけど、その分、今の感覚が濃く記憶に残ります。


出口に向かう途中、壁に飾られた古い杖が飾られているのに気が付きました。


現役の魔法使いが使っていたものらしいです。


説明書きには、この世界の魔法使いたちのことが簡単に記されています。


ざっくり説明すると、

城壁の外には、観光客が踏み込めない本物の「魔法の世界」が広がっている。

そういうことが、書かれていました。


皆さんも、ここに来た際には読んでみて下さい!


ホールの外に出ると、もう夕方でしょうか。


「魔法が日常の中にある世界。

今回はその一部分に軽く触れることが出来ました。

アルカニア編は、何回かに分けてお届けする予定ですので、是非ご視聴お願いします!では、また次の動画で!」


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