表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コルク栓を抜いたら異世界に飛ばされそして謎に日本語と英語で会話してる異世界で生きる俺って一体  作者: みなと劉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/16

第四話 街と“斡旋所”

店主の指を数えながら、俺は受け取った紙幣を財布へしまった。


 350コルド受取。

 そこから服代二コルド支払い。


——残り348コルド。


(いや、普通に人生変わる額なんだけど……)


 財布の中で、見慣れない二種類の紙幣が軽く擦れた。


「ところで、コルドより小さい単位ってあるんですか?」


 聞くと、店主は「あー、それな」と言いながら、レジ下から別の束を取り出す。


「これがジルドだ。1ジルド、10ジルド、100ジルド、1000ジルドの紙幣がある」


 手渡された紙幣には《Guild》の文字。そして中央には見知らぬ人物。


「この人って……」


「『アーノルド・ティエウス殿下』だ。現王子だよ」


「王子……!」


(アーノルド・ティエウス……ティエウス家が王族ってことか)


 店主は軽く指を鳴らす。


「成人したばっかでな。まだ十五のはずだ」


「十五で成人なんですね」


「そうよ。こっちじゃ早いのさ」


 なるほど、と頷く。


「じゃあコルド紙幣のこの人物は?」


「それは王様。『ドミニク・ティエウス』陛下だ」


 紙幣ひとつにも、この国の構造が透けて見える。


(覚えといたほうがいいな……本当に異世界なんだって実感する)


 そう思いながら店主へお礼を言い、青年と一緒に店を出た。



---


◆ 


 店の外はすでに日が傾き始めており、石畳が金色に光っていた。


「ハーイ、ユー。アフター・ショップ、どこ行く?」


「えーっと……まず、この世界って魔物とかは……?」


 俺の質問に、青年は「ああー」と頬をかきつつ答える。


「モンス? いるヨ。ケモのネ。だけどここオムネットはシティだから、街中には来ない。うん、ノー・ケモ」


(ケモ……魔物のこと?)


「でも心配なら……斡旋所あっせんしょイクか? ジョブとかクエストとか、モンス情報もあるヨ」


(斡旋所……やっぱギルド的なやつだ!)


「行ってみたいです」


「OK! じゃ、ストリート歩くヨ」


 彼の案内で歩き始めると、街並みが否応なく目に飛び込んでくる。


 屋根は赤茶色の瓦が多いが、建物の形は日本の古民家でも西洋風でもない。どこかSFっぽいラインもある。通りの端には光るパネルの看板があり、馬車の横にはエンジン音みたいな機械が載っていた。


(魔法と科学……両方あるタイプの世界か?)


 ざわめきのある街。料理の匂い。布を売る露店。金属片を叩くカンカンという鍛冶音。


 そして——


(人、めちゃくちゃ多いな……)


 人種も色々だ。肌色も髪も服装もバラバラ。  耳の長い人、尻尾がある人、袖口から羽根みたいなものが覗いてる人も。


(やっぱ人外も普通にいる世界なんだ……!)


 胸がわくわくと高鳴る。



---


◆ 


「……そういえば、青年さん」


「ネームは“レンシオ”だヨ」


「あ、レンシオさん。ありがとう」


 歩きながら、俺はずっと気になっていたことを聞いた。


「さっき店主さんが言ってましたけど……“異世界から来た女の子がいた”って、本当に?」


 レンシオは一瞬だけ眉を寄せた後、少し小声で言った。


「うん。トゥエンティ・イヤー・アゴね。

 噴水広場に落ちてきた——ってストーリー、似てるヨ」


「……!」


「でも、その子は……街しばらくにいて、ある日いきなり消えちゃったネ。ノー・トレース。

 ウワサでは、王都に行ったとか、ケモに襲われたとか……色々あるけど」


 胸がざわつく。


(その子、今も生きてるのか?

 もしかしたら、会えるのか?)


 期待と不安が入り混じる。


「……その子の名前、わかります?」


「ノー。レコード残ってないヨ。異世界の人は、名前発音むずいしネ」


 少し落胆しつつも、同じ転移者の存在は大きかった。



---


◆ 


 しばらく歩くと、路地の向こうに大きな建物が見えてきた。

 石造りで重厚な扉。上には《OMNET JOB-NET Agency》と書かれた大きな看板。


「あそこ、斡旋所。ジョブとかクエスト、ハンター登録もあるヨ」


「おお……まじでギルドじゃん……!」


 胸が高鳴った、その瞬間。


「ん? ユー、そのリュック……さっき店主からもらったやつネ?」


「はい。中古だって言ってましたけど」


「ちょい、オープンしヨ。チェックするネ?」


 言われるまま、リュックのチャックを開けた。


 その内部を覗いたレンシオの目が、まん丸になる。


「ユー……これ……ヤバいモン入ってるヨ!」


「えっ?」


 俺も覗き込んだ。


 そこに入っていたのは——


見覚えのある《透明液体の小瓶》と、《細長い銀色の棒》。

……そして見たことのない《青く光るカード》だった。


(……これ、俺の世界の……?

 いや、違う。何だこれ……?)


 脳裏にざわりと鳥肌が立つ。


「ユー……これは“異世界アイテム”じゃネ……?」


 レンシオが息を呑む。


 俺の心臓も、強く跳ねた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ