7-1
「あのね、私――」
まだ完全に収まらない息を整えながら、あまねは続けた。
「私――すぐには信じてもらえないかもしれないけど、雨が降っていると、心の声が聞こえるの」
直陽は黙って聞いている。
「突拍子もないことを言ってるのは分かってる。変な子だって思われても仕方がない」
「分かってたよ」
「確かに私は昔から変なところがあって――え?今なんて?」
「だから、あまねさんが雨の日に心が読めることは分かってた」
呆気に取られてあまねは何も言えなくなった。
「どういうこと?」
「何度か言ってたと思うんだけど。俺も人の心が見えるんだ。ほら、人の目を覗き込むと、写真で切り取るように、人の心が見えるって」
あまねは直陽との記憶を辿った。確かに言っていたことはあったけど。
「でもそれは比喩というか、たとえというか」
「俺も最初はそう思ってたんだけどね。いつからか、本当に心の中が、映像や心のイメージとして『見える』ようになっていたんだ」
「冗談、じゃないよね?」
あまねはまだ信じられなかった。
「俺にそんな冗談言うセンスがあると思うかい?」
直陽くんはあまり言わないかもな、とあまねは思った。
「いつから?」
「はっきりと見えるようになったのは、クリスマスくらいかな」
「じゃあ、初詣の時も」
「うん。『雨の日の力を無くしてください』ってお願いしたんだろ?」
「え?それも分かってたの!?」
「そして、俺も『目を覗き込んで心が分かる能力を無くしてください』ってお願いしたんだ」
「じゃあ」あまねは驚きを隠せない。
「そう、俺たちのお願いごとは、同じだったんだよ」




