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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第六章 朝霧あまね
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6-20

 そこからお願いごとをするまでの記憶があまりない。ここの御神体には間違いなく何かの力がある。本殿が近付くにつれ、心臓が高鳴る。

 私と直陽くんは二人は並んで立った。賽銭を入れて鈴を鳴らし、お願い事をする。

 私の願いはただ一つ。


――雨の日の力を無くしてください。


 直陽くんには

「何をお願いしたの?」

 と訊かれたけど、はぐらかしてしまった。

 直陽くんは、「もしかしたら、同じかも」なんて言ってた。もしかしたら直陽くんは「ずっと一緒にいられますように」とか言ってくれたのかな。私もその思いは同じだけど⋯。

 私は「違う⋯かも。私は、私なりのお願いをしたから⋯」とだけ呟いた。

 直陽くんは「叶ったら教えてね。みんなのところに戻ろうか」とだけ言った。また不安にさせちゃったかな。


 神様はこのお願いを聞き届けてくれるだろうか。お願い事をした後、気が気じゃなかった。何か変化は現れるだろうか。本当にこの力を失ってやっていけるのだろうか。私の選択は間違っていなかっただろうか。いろんな考えが頭をめぐった。

 おみくじを引いた後、直陽くんが言った。

「おみくじは、中身が大事だって思うんだよね」

 私のおみくじは吉だったけど、内容を見てみると、「願い事:望めば叶う」とあった。

「『望めば叶う』」

 六年前、私はここで「人の心が分かるようになりたい」と願った。そしてそれは叶えられた。なら今回もただ望むことが大事なのかもしれない。迷っていてもしょうがない。ただただ望もう。

 私は、

「そうか、じゃあ、望むことにする」

と呟いた。



 神様に対峙したその出来事で、私は力が抜けてしまった。言い訳なんだけど、やっぱり直陽くんに甘えてしまって、事情を話すことはできなかった。


 そうこうしているうちに、試験期間となり、そしてそれも終わり、タイムリミットが近付いてきた。

 神様にお願いはしたけど、雨の日の力が失われる確証はなかった。

 だからいつも天気予報をチェックしていた。いつ雪は終わり、雨になってしまうのか。その前に、雨が降ってしまう前に直陽くんに伝えないと、きっと私は後悔する。そしていつまでもズルズルと伝えられないままになってしまう予感がした。

 もう一刻の猶予もない。

 私は直陽くんの元に走った。お願い、まだ雨は降らないで。そう願いながら。

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