6-10
翌日、朝方に寝てしまったために、寝坊してしまった。朝ご飯も食べずに家を出た。バスで直陽くんには会っていない。
朝食を食べていなかったので、A校舎の二階の談話コーナーに立ち寄った。そこでパンを買って食べていた。
その時、たまたま通りかかった部長に呼び止められる。
「朝霧」
「久我先輩、おはようございます」
「ちょっと俺もいいかな」
と言って私が何も言わないうちに向かいに座った。この人はそういうところがある。
そして、小説書きのこと、写真部とのコラボの話になった。この時はまだ部長も反対じゃなかったんだよね。
話題は汐里ちゃんのことに移った。入部したてのころのドジっ子ぶりを教えてもらい、私も汐里ちゃんの話だったので油断していた。何気なく笑った時だ。
笑った顔のまま、談話コーナーに来ようとしていた直陽くんと目が合った。
直陽くんは、咄嗟に視線をそらすと、振り返って立ち去った。
また、やってしまったかもしれない。だんだん直陽くんの心が離れていく気がした。
本当はもっと直陽くんと話したいのに。でも次に会うとき、例えばあの朝のバスのとき、どんな顔して会えばいいんだろう。何を話せばいいんだろう。前は「推測は推測しか生まない」なんて偉そうなことを言いながら、今度は私が直陽くんを不安にさせてる。
そう思えば思うほど、私もどうしたらいいのか分からなくなる。雨も降ってないから直陽くんの気持ちも分からない。私はますます不安になる。
どうにかしなきゃ。そう思うけど、思えば思うほど気持ちが空回りするだけだった。




