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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第六章 朝霧あまね
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6-1

 私は物心ついた時から児玉台に住んでいた。小学校は児玉台南第一小学校。小学生の時は毎日学校の子と遊んでばかりで勉強なんてしてなかった。だから親に私立の中学校の受験を勧められた時はちょっと嫌だった。特別地元愛があったわけじゃないけど、毎日中学校から出てくるセーラー服姿の中学生を見ては、あそこに行くんだろうなって何となく思ってた。街なかの私立中学校に通う自分が想像できなかった。

 だから、中学はそのまま同じ団地にある児玉台南中学校に進んだ。部活はソフトテニス部。特別運動ができたわけじゃない。もともと文化部系だと自分でも分かってたけど、選択肢がなかった。南中なんちゅうの文化部は吹奏楽部と美術部しかなくて、そのどちらも違うと思ってた。仲の良い友達はみんなソフトテニス部に入ったから、私も特に考えずに入った。でもやっぱりレギュラーにはなれず、いつも応援ばかりだった。

 それでも非公式の試合には何度か出させてもらっていた。中学のテニスは常に二人でペアを組む。私のペアは、小学校のころからの幼馴染の桃華ちゃんだった。テニスの腕も同じくらいだったから、先生に「お前たち仲がいいし、ちょうどいいよな」と言われて、私は喜んでペアを組んでいた。

 私は昔から、明るい子だねって言われて育った。ちょっと変わった感性も持ってるね、とも。変わってるって言われるのは嫌じゃなかった。それだけ特別なんだって思えたから。だからいつも自分の感性を大切にしてきたし、思いを口にしてきた。できるだけ隠し事もしないで、正直に生きてきた。それが誰かの気持ちを犠牲にしていることも知らないで。

 あれは部活も引退して、高校受験に専念していた中三の後期。そのころになると私も勉強しなきゃいけないこともよく分かっていて、真面目に勉強するようになっていた。もともと勉強が嫌いなわけではないし、特に興味のあることには凝り性って言われるくらい集中できる。それがうまい方に働いて、成績は少しずつ上向いていた。親は小学校のころに受験しなかった私立の高等部に入れさせたいようだった。でも秋の三者面談で担任の先生に言われたのは、

「あまねさんならもっと上を狙えますよ。正直、もったいないです」

だった。お母さんもお父さんも驚いたのと同時に、誇らしげな表情を見せた。その週はずっと機嫌が良かったのを覚えている。もちろん私も嬉しかった。

 その冬のクリスマスの少し前。昼休みに何気なく桃華ちゃんと話していた時のこと。私が、

「今年ももう少しでクリスマスだね。今年もうちでクリパやる?」

 と言うと、桃華ちゃんは、

「今年は、やらない」

 と答えた。

 そして、「私にはそんな時間はない。あなたとは違うの」と言った。

「え?どういう意味?」

 桃華ちゃんは、「なんで分からないの?!」と大声を出した。

 周りの女子も男子も、みんな桃華ちゃんに注目した。でも桃華ちゃんは止まらなかった。

「もううんざり!あなたのそういうとこ、本当に嫌い!自分は好きなように生きてていいよね。したいことして、言いたいこと言って。私はあなたとは違う。私はずっと我慢してた。我慢するのはいつも私。私が今までどれだけ我慢してきたと思ってるの?先生も勝手にペアにして。本当は嫌だった。あんたみたいな下手くそと一緒にされて、全然腕は上がらなかったし。いっつも、桃華はあまね、桃華はあまね。なのに、あなたは部活引退したら、さっさと気持ち切り替えて、勉強に専念?順調みたいで良かったね。⋯あなたと一緒にいると、どんどん苦しくなるの。ごめん。もう一緒にいたくない。顔も見れない」

 私は何も言えなかった。何も考えられなくなった。

 桃華ちゃんがそんなことを思っていたなんて。いつも一緒にいて、いつも笑って、桃華ちゃんと一緒にいることが楽しかった。でもあの笑顔が全部嘘だったなんて。

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