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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第五章 冬
76/104

5-15

 一週間ほどたったころ、正月気分も覚めやらぬまま、再び学校が始まった。皆授業に身が入らない。直陽も例外ではなかった。

 特に試験前になると面倒なのが、話したこともない学生に、突然話しかけられることが増えるのだ。

「月城君、あの授業出てたよね?」

 誰だろう、どこかで見たような気もする。ああ、必修の授業で見たことがある女子かも。だが、名前は知らない。話したこともない。こういうときは大抵理由はあれだ。

「ノート見せてもらっていいかな?」

 面倒なのでその場で見せる。すると、何の躊躇ためらいもなく、その子はスマホでカシャカシャ写真を撮っていった。

「ありがとう。またね」

と言ってどっかに行ってしまった。「またね」か。気安く使わないでほしいな。あの子の「また」はきっと、次の試験の時なのだろう。



 そうこうしているうちに、試験期間になった。中には「指定の教科書のみ持ち込み可」のテストもある。そういうテストは皆教科書に授業内容を書き込んでいる。さらにそうした教科書は先輩から受け継がれていく。だが、直陽は思う。やはり、自分は授業の流れを知って、それで教科書に自分で書き込んでおきたい。

「そういうとこはやけに真面目なんだよな」

 図書館で一人勉強していた時にふと一人ごちた。少し大きな声になっていたかもしれない。少し慌てながら、勉強に戻る。周囲には知らない学生しかいないから、別にいいかと、思ったとき、「ん?」と言う声が本棚の向こうから聞こえた。

「あ、月城君」

 そう言って本棚の端からひょこっと莉奈が顔を出した。

「ここで勉強してたんだ」

 と言いながら、直陽に近付いてきた。手には新聞を持っていた。確か近くに新聞コーナーがあったはずだと思い出した。

「俺もいるなりよ」という声がした。「おつかれさん」

 莉奈の後ろから靖太郎が現れた。

「一緒にいたんだ」

と直陽が訊くと、莉奈は

「うん、まあ」

 と曖昧に返事をする。靖太郎はというと、後ろでニヤニヤしているだけだ。

「最近よく一緒にいるのを見かけるけど」

 直陽がなおも訊くと、

「そうだっけ?」と莉奈はとぼける。

「まあ、何となく分かってたよ。もう隠さなくていいって」

 と直陽が言いうと、莉奈は、

「いつから気付いてた?」と訊く。

「合宿の時、かな」

「え、でもあの時はまだのはずだけど」

「そっか。ただあの時、コガリナが寝言でセイタのこと呼んでたから、もしかしてとは思ってた」

 途端に莉奈は頬を赤らめ、

「え?私は何か言ってたの?」

とやや大きな声を出した。

「ちょっと、出ようか」

 と直陽は言い、二人をフロアから連れ出し、談話コーナーに避難した。


「なんか、集中が途切れてしまった」

 直陽が言うと、莉奈も靖太郎も申し訳なさそうな顔をする。

「邪魔しちゃったね、ごめん」

 莉奈がそう言うと、直陽は、

「いや、ちょっと今日は頑張ったし、そろそろ帰ろうかなと思ってたから、ちょうどいいよ」

と気遣った。

「じゃあ一緒に食事でもして帰るなりか?」

と靖太郎が莉奈をチラッと見ながら言った。

「いいの?お邪魔じゃない?」と直陽が言うと、

「大丈夫大丈夫。行こ行こ」と莉奈が応える。

「まあ、二人がいいならいいけど」

「じゃあ、決まりだね」

**次回予告(5-16)**


直陽、莉奈、靖太郎で食事をすることに。「付き合うって何だろう」という話になる。


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